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・・・だから、私達は生きなければいけない。

看護師という仕事は、少なからず、看取りの場に立ち会う機会があります。

社会の高齢化に伴い、入院している患者さんも高齢の方が多く、病気の悪化だけではなく、天寿を全うして、最期を迎える方が多いです。

しかし、病院というところでは、必ずしも、高齢の方だけがなくなるわけではありません。

時には、この世に生を受けて、すぐに死を迎えてしまう赤ちゃんもいれば、不幸にも交通事故に遭ってしまい、そのまま、命を落としてしまう方もいます。

特に特定機能病院や第3次救急を担う病院では、いろんな形で、最期を迎える方がいます。

私も病院ナースの時代、多くの患者さんの最期に立ち会いましたが、特に、「生きたい」という意志半ばにして、無念にも最期を迎えざるを得ない、若い方の看取りは、非常に辛いものでした。

幼い子供と妻を残して、末期のがんで亡くなっていった30代の男性。

昨日までは、普通の生活を送っていた大学生が、突然、クモ膜下出血を発症し、そのまま最期を迎えることとなってしまった20歳の男性。

友達との塾の帰り道で、飲酒運転の車にひかれ、そのまま命を落としてしまった女子高生。

まだまだ、挙げればきりがないほど、若くして最期を迎えている人たちがいます。

人生の最期は、思いがけず、突然やってきます。

彼らの最期に立ち会い、私は、この何気ない「普通の」暮らしがいかに幸せなことなのかを実感せずにはいられませんでした。

人生には、苦労や辛い体験も多く、逃げ出したくなる時も何度もあります。

しかし、その目の前にある苦労は、「生きている」からこそ実感できるものです。

「生きている」こと、そのものが耐えられず、自分で自分の命を絶つ人もいますが、「生きたい」と思っても、生きられない人がいることを少しでも実感することができるのであれば、そのような道を選ばないのではないでしょうか。

看護という仕事は、「人生勉強」、そのものです。

人の生と死に触れ、自分の死生観を勉強していく、それも看護の学びだと私は考えます。

「生きたい」という思いを残して、無念にも最期を迎えなければいけない人がいる・・・。

・・・だから、どんなに辛い人生でも、私達は一生懸命、生きていかなければいけないと、私は思います。

最後まで、読んでいただき、ありがとうございました。


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