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早蕨(さわらび)①

今日は節分ですね。恵方巻を召し上がった方はいらっしゃるでしょうか。
わたしは大阪人ですので、小さい頃からこの日に巻き寿司を食べる習慣はあったのですが、小さい頃は切ったものを普通に会話をしながらいただき、最近は一本だと多すぎるので半分の長さのものを購入し、それでいて豆の数は増えてきて、むせないように少し水分を摂りながら食べ、結局お腹が苦しい・・・という風に変わってきました。今年はそもそも恵方を向くのをすっかり忘れていて。巷(ちまた)で言われる「正しい」恵方巻の食べ方を中々出来ておりません。

さて、今日の菓銘は「早蕨」です。
早蕨とは若芽の蕨、つまり食べるにしても軟らくて美味しいもの、ということですね(芽が伸び、葉の開いたものは老蕨(おいわらび)と言います)。右側のひょろひょろとしたものが蕨を表す焼印なのですが、今はお茶をなさる方やお着物をお召しになる方でなければご存知ないかもしれません。蕨自体も、新鮮なうちに灰汁抜きの手間をかける必要があることもあり、水煮の方が馴染みがあるでしょうか。好んで和食を召し上がる方でないと、使わない、食べない食材になってきている気がします。

蕨は深い山奥でないと取れないということはないので、わたし自身、幼い頃は親が摘みに行くのについていったこともありました。旬は3~6月頃のようなので、雪が無くなった山に分け入ってその恵みを探すことは昔の人にとっても楽しみだったことと思います。今のようにお店で水煮を買うのではなく、自ら摘んできた蕨をすぐ灰汁抜きして茹で(その分の薪も余分に要りますね)供することは、心尽くしが見える献立の一つだったことでしょう。

時間に追われる現代ですが、季節に一回くらいは蕨や筍のアクを取る処理も自分でしたいものですね・・・と言いたいところですが、わたし自身は、実は蕨も筍も苦手な食材でして。茶懐石でも春を感じさせるうってつけの食材なのですが、他の山菜や豆、菜の花などを使った献立をついつい考えてしまいます。

前回書きましたように、明日の立春は旧暦の元旦です。もしもし新暦の元旦からが忙し過ぎて・・・という方はここで改めて立て直してみるのはいかがでしょうか。よき春をお迎えになりますように。


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