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悠貧ダンディズム 男はいくつになっても不良少年

多くを失ったあとに石津謙介はどのような晩年を過ごしたのか?

 VANの創始者ー令和の時代にこういってもその偉大さはもはや伝わらないかもしれません。
  石津謙介さんはVANブランドを作り、60~70年代にIVYやトラッドを日本に普及させ日本の男性ファッションに革命を起こした人です。若者文化そのものを変えたと言っても過言ではありません。
 それだけでなくD・マークスの「AMETORA 日本がアメリカンスタイルを救った物語」を読めば、アメリカそして世界のファッションに足跡を残した人であることが分かります。

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 一時は電通よりも売り上げがあったというVANが倒産した後、石津さんは何を考えどのように晩年を過ごしたかが書かれています。
 「悠貧」と題されていますが、貧乏のどん底の暮らしではありません。

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 とはいえセレブリティな暮らしでもありません。

消費と物欲が豊かさの象徴であった時代の先頭を走ったのち・・・

 石津さんは高度成長後に若者が文化の主役となっていく日本で、アメリカのライフスタイルをファッションを通じて布教した導師でした。まさに物欲文化のど真ん中にいた彼が、退場したのちに変化していくファッションやモノをどのように見つめていたのを知る本です。
 かつての豊かさと現在の悠貧。

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 ある意味、現在の若者がバブル世代の引きずっている価値観を理解する手引きにもなります。時代の変化に合わせて価値観は変わると言っても、引きずるものは引きずってしまうのです。それがどの世代にも共通する人間らしさでもあります。

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 この本は95年から99年まで連載していた雑誌コラムが元となっています。
 石津さんは11年生まれですから84歳から88歳まで連載を持っていたっていうのは凄い!
 98年に出版された初版。

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 ちなみに石津さんの息子である祐介さんが1961年にマツダ360クーペでアメリカを旅した記録がネットにあがっています。
 この旅が伝説の写真集「TAKE IVY」の端緒でもあり、憧れのアメリカを体験した若者たちの貴重にして、ノスタルジックな味わいのある読み物になっています。VANファンなら検索して是非ともお読みください。

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