FTX破綻について

先日、FTXが、日本で言うところの民事再生法に相当するものへの適応を申請し、後任に指名されたジョン・J ・レイ氏というエンロンにおいても清算手続きを指導した人に引き継がれたとのことです。

FXT破綻、いや、FTX事件と言ってもいいことをザックリまとめると下記です。
・FTX自体は世界No.2の暗号資産取引所として運営されてきた。
・Alameda ResearchというFTXの代表の保有会社は、自己勘定トレーディングをする投資会社としての割合が大きかった。
・Alameda Researchに対してFTXから約100億ドルの貸付をして、Alameda Researchの損失を負債によって一時的に賄っていた。その資金は、FTXの多額の顧客資産から拠出されていた。

なかなかやばいですね。

要は、自分で投資会社作ってポコポコ出資して損が出たので「他人の金」で(あわよくば一時的になることを祈って?)カバーした、ということです。

ただこの「他人の金」というのが、別会社の顧客資産という絶対に守らなければいけないものから出ているという資金のやり取り自体が問題です。

当然ですが、伝統的な銀行とかも、顧客から預かっている現預金を運用(企業への貸付をしたり、金融商品の売買をしたり)することで設けているので、「他人の金」を使ってワチャワチャしていること自体には大差ないですが、銀行の場合は絶対に顧客への資金引き出しに耐えられるように資金を守りながら運用するようになっています。絶対というのは確率的な話であって100%ではないですが。


FTX事件によって、暗号資産への風向きが悪くなり、暗号資産に関する規制が厳しくなる可能性はあります。

ただ、マクロ~ミクロとして大きな流れでは、下記のことが言えると個人的には見ています。

・パブリックチェーンの分散性の重要性が再認識される。言い換えると、1社が手動するチェーンのリスクが顕在化されて再認識される。
・更に、1社というよりもおおよそ1個人が発生させた事件なので、ブロックチェーン技術自体に疑問符が付くわけではなく、経営と技術を棲み分けて考える必要がある。つまり、「暗号資産?関連するものは全部クソだ!」とはならない。
・ブロックチェーン技術を活用した産業変革とかは今後も進む。ブロックチェーンと相性が良い産業からそれが今後も進んでいく。
・コミュニティが作ったNFT、NFTが作ったコミュニティについては、それ独自で価値を持つので、マクロの影響を受けることはあっても、生き残るものは生き残る。


FTX事件は暗号資産業界の主にファイナンシャルな面でのメチャクチャな経営が引き起こしたものになりますが、暗号資産業界・ブロックチェーン業界自体については今後もマスで広がっていきますし、FTX事件の余波が何年か続く可能性はありますが、中長期では適切な制度設計のための事象として処理されることに鳴ると考えています。


以上です。

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