見出し画像

22【ゴミの中のゴミ】

5月13日
LOCA5期目の決算を終え
税務署にて申告書と納税を済ませ
とりあえずのやるべきことは
一通り、済ませた

日本で1番、たくさんの人が
亡くなっている病気、それがガブちゃん

確率的には二人に一人がなるという

年間40万人亡くなり、
約40年間不動の一位
(全体では年間137万人が亡くなる)

1日あたり1100人も死んでいる


この病気のいいところは

すぐに死なないこと

そして自覚症状や痛みが少ないこと

ということは
少なくとも残された時間があり
心の準備と生活の整理が
ある程度、自分の意思でできる

そして、ガブちゃんが発覚してから
精密な検査をしてステージが決まる
2−3週間が結構な勝負どき

神様が突然やってきて

さぁあなたに3週間あげる

どう生きたいか考えなさい
そしてどう死んでいきたいかもね


死ぬかもしれないムウと
それでも生きたいムウ

この二つを同時進行で
絶妙なバランスでもって過ごす3週間

さぁムウ

どうする?



ムウの父は可愛い人だった
下手くそだけど憎めない人だった

彼は、
当時住んでいたマンションの
粗大ゴミの捨て場から
いろんなものを持ってきた
(うちは裕福ではなかったのもあるが)

嬉しそうに
こんなんあった!
こんなんもあった!と

もったいない
もったいない
まだ使えるのに
もったいないと嬉々としていた

そしてそれを工夫し再利用して
使うのが父の習わしだった

勉強机も扇風機も自転車も
いろんなものを買わずに済ませた

この習わしは
明らかにムウに遺伝している

もらい物や捨て去られるものを
もったいないと拾ってくる

まるで捨て猫を拾うように

そしてついつい
それは集まり過ぎてしまう

いつの間にか
そのものたちがどっぷりうちに根を下ろす

だからムウの周りには
たまたまの出会いによって
やってきたモノたちが
くんずほぐれつひしめきあっていた


断捨離を始めた

死ぬかもしれない
という意識をもって。

すると

ほとんどがいらないものだった


ルウにいつも

私からしたら全部ゴミだから

と言われ

そんなこと絶対ないし!

と言い張ってたけど
それはほんとにほんとで

言うなれば“全部“いらないもので
残したらちょっと“恥ずかしい“ものでもあった


おそらく、死ぬまで絶対読みそうのない
埃の被った本、本、本

いつか何か書くかもしれないと置いてある
大量の使いかけのノートやスケッチブック

音の出なくなった楽器

多すぎる工具や画材

拾ってきた石

座ることのない椅子

木材の切れ端

作品作りで余ったガラクタ

どうにも使いようのないしょいカゴ

2度と着ない服

使い込んで卒業したはずのカバンたち

すでに聞く機械すらないMDやテープ

これまでも折をみて
結構捨てて身軽になったつもりなのに
果てしないほどにあった

ムウがもしも
先に行ったら絶対処分の困るよねな品々

だけどムウにとっては
それぞれに物語があるものたち

一度死んで、生きかえろうよ


ガブちゃん宣言とは
そういうことなのかもしれない


だから
捨てる、捨てる、捨てる

ムウの中にあるものも
捨てる、捨てる、捨てる

とうの昔に治ってるのに
まるでまだそこにあるように
大事に押さえてる古い傷


誰かに褒めてもらって
嬉しくなっていつまでも
握りしめてる“可能性“

懐かしいといいながら
そこにいつまでもしがみついてる
“過去“の遍歴

いろんなものを
ムウの中から捨てる捨てる捨てる


人生にいるものってなんだ
人生にいらないものってなんだ

世の中にいるものってなんだ
世の中にいらないものってなんだ


いつもそこの隅っこからキッと睨んで
そんな場所には入れらないさと意気込んで
そこから動けない自分に気づかないふりをして

いつかゴミ捨て場にいる心地よさを感じてる


だけどなんとかそこから
もう一回、もう一回と
這い上がり、なんとかムウの使い道を探る

そんなことをただ繰り返してきた
人生だったように思う

同時に

どうせムウはゴミですから

どうぞいつでも
捨ててくださいよ

という
開き直りに甘えてる


だから
こうなった以上
一旦、捨てる
一旦、殺す

そんな思いを一旦、殺す

そして気づく
ゴミをゴミだと思っていたのは
誰でもないこのムウ

それはちっともゴミなんかじゃない

ゴミだから救わなきゃ
ゴミ扱いしないでよと

ゴミ扱いしていたのは
ムウ自身


ゴミにすがっていたのはムウだ


ゴミの中のゴミはムウなんだ


これはツラい
これはダサくマジでキツい

ちゃんちゃらおかしい自作自演だ

だからきっと
人の言葉を聞けないムウに
そんなことでどうするのと
ガブちゃんがみるにみかねて
教えてくれたんだ

だからムウは生きる

ゴミとかゴミじゃないとか
社会とか世の中とか
排除とか孤独とかそんなことを
全部抜きにして

ムウは生きる

ムウをムウとして生きる

ゴミなんかじゃないムウを



こうしてムウは
この日からやめていたYOGAを始めた


今日はなんだかセンチメンタルな雨だな



教訓
:思い込みは捨てよう
:何度でも生き直せると信じよう
:捨ててもそれは無くならない


写真はずっと捨てられない味、黄金糖
食事制限されているのにこれだけは許されている
黄金糖、味覚は記憶の宝庫だね


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?