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17【これで最後、、、】

当たり前にあった日常
もう叶わないかもしれない夢

いつでも会えると思っていたあの人

またね

と言う言葉

全てが変わってしまった
今日という日の見え方も
明日は当たり前にくるという感覚も

5月5日、早朝、車で都内に向かう
コロナで数年、できていなかった
コンタクトインプロの
合宿最終日に合流する

代々木公園の横に車をとめ
公園を抜ける

それぞれ思い思いに公園で過ごす人々

それを横目に見ながら、どこか自分だけが
違う次元で息をしてしまっているような
どこか、映画の情景の中を観客として
歩いているような(彼らからは見えない)

あーこの人達のような
無尽蔵にある時間を
ただただ無為に
過ごすなんてことが
ムウにはもうできないんだ
なんて、思いながら

体を動かすことが好き
自由にならない体でどこまで
跳ねられるのか

体を触れ合わせることが好き
相手の微細なエナジーと
ムウのエナジーの混ざり合い

あれ、柔らかいな
ん?全然、入っていかないな

お!キタキタ!いい感じ

気持ちいいーーー

 と

と体同士で会話する
脳とは離れた次元

触覚を研ぎ澄ましたその次元で

生きるとか死ぬとか
考えているのは脳とは全く違う次元

体はただ生きている
生きている今を
生きている


基本的にムウは無口
自分から自分のことを語ったりしない
話しかけたりすることもあんまりしない

だけどダンスの仲間とは
触れることで交じり合ってきた
嘘のつけないその時のムウと
その時のそのヒトで

だから、懐かしさが込み上げる
その感覚が蘇る

数年ぶりにみる、ダンスの仲間
嬉しいと同時に、

これで最後

これが最後、、、、。



という言葉が頭にチラつく

コンタクトインプロは
触れるダンス

だけど
コロナなので触れない
だけど触れなくたって感じる




途中、大好きな仲間の一人が
遅れてやってくる

遠目にその存在を捉えて
嬉しいと同時に 
そうか、もう会えないかもしれないのか と

また
これが最後、、、、がやってくる

待てよ、
でもよく考えてみると
今まで、たった一度しか会ったことない人が
どれほどたくさんいることか

いや、ほとんどの人はそう
その時に、これで最後と思って
関わってきたか

今のムウの最高の状態で醸し出せる何かを
そこにで出せていたか


今のその人が醸し出している何かを
全力で受け取ろうとしていたか


そう思うとこれは
悪い感覚ではないかもしれない


たった一度の出会いで
人生が全く違ってしまうことだってある

今日が、最後
もう2度と会えない

もしも、もしも次に会えたら奇跡

そしてそのもしもはきっとない


その大好きな仲間はあっという間に帰ってしまって
その背中を見送りながらそんなことを考えた

お昼、近くの明治神宮に散歩

ムウは昔から神社が好き
神様がいるかどうかなんてことは知らない

千の風になっての歌詞のように
そんなところに神様はきっとじっとはしてないさ

だけど、毎日、毎日、たくさんの人たちが
何十年も何百年も祈りを捧げているその空気が好き

そのエナジーを浴びて生きるその場と
そこで育つ木々と土の匂いが

そして拝む先にある鏡に自分の大いなるものを映し
それを通して天に祈る

ひふみよいむなやことも
ちろらねしきるゆゐつわぬ
そをたはくめかうおえにさりへて
のますあせゑほれけ ん

オオツグヒコツグヒ
コトドヒノコトヲモラサズ
キコシメセトカシコミカシコミモマオス

天地和合 万物和合 神に幸あれ



いつも、ムウにお役目を
いただきありがとうございます

ムウはちゃんとお役に立てていますか?

どうか、これからもこんな
ムウにお役目をお与えください

と、今日もムウ、ちゃんと生きてる
を、天に恥じぬよう、ちゃんと生きてる
を、伝える

神様もいつもごきげんでありますように

この世界がいつも笑っていられますように

 と


そこにちょうど結婚の儀を行う行列
清々しい

皆が道を開けてその門出を祝う
これから続く長い長い道のりの門出を

人は何に祈り、何を願い、何を受け取るのか

たとえ、今日が最後だとしても
ムウはムウの命を全うしよう


ムウに出会ったその人に
何かを残そうとは思わないけれど

ともに肌を合わせ、
ひとときのダンスをしたことを
ふっと思い出せるような命を

こどもの日のこの日、
ルウは娘と孫達と一緒に
蓮沼の小さい遊園地に行っていた

ムウがいなくても
もしもムウがいなくなっても

きっと、きっと大丈夫よね



と何故かその送られてきた写真を見て
少しだけ
(もちろんとっても寂しいしそんなこと考えたくもないけど)
ほんの少しだけホッとした

夕方、ダンスを終え
あんまり言葉も交わさずに会場を後にして
(思うほどの寂しさは残らなかったし
 どちらかというと清々しかった)
一人、首都高に乗ってルウ達の待つ、ココスに向かう

孫達の嬉しそうな顔、顔、顔
娘とルウがいるこの世界に

あとどれぐらいムウはいられるのだろうか

そんなことを考えながらでも
十分に心はワイワイ、できるものだね


教訓
:その人と会うのは今日が最後と思ってみる
:そしてやり残したことがないようにする
:なんなら今日が最後の日と思って生きてみる

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