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65【真実の告白】


8月25日、夜
ガブちゃんがわかってから
ちょうど4ヶ月目のこの日

やっとやっと家族5人が集まれた


孫たちが寝静まったあと
むうとルウと娘たち3人で食卓に集合し
のんとユーに本当のことを伝えた
(これまではルウと長女のあんだけが知っていた)

今まで黙ってたけど
今日、これからのこともはっきりわかったから
伝えるね



春からの経緯と
手術でそれを取ったこと
だから今はもう、ガブちゃんはいないこと
そして予防のために
9月から抗がん剤治療が
一年間、始まること

ここまで本当のことを伝えなくてごめん

でものんは近くに暮らしてないし
ユーは大事な試験があったから
余計な心配かけたくなかったんだ

ユーとのん

もちろんびっくりはしていたけど
冷静に聞いてくれて
取り乱すようなことはなかった

泣かないのねーとあん

あんは大泣きだったのにねーと

まだあの時はどうなるかも
全くわからなかったもんね

姉妹と共有したかったろうに
一人で背負わせてごめんね

あー、でも伝えられてよかった


これでがんばれる気がした

そしてもう一つのことも伝えた

むうがジェンダーのことで
小学生の頃から悩んできたこと

男子と女子
どっちの性もあるということ


それを今までずっと出さないように
してきたこと

ルウには結婚前に話して一旦OKしてもらって
そのあとやっぱりルウの前ではダメになったこと

だけどサンタが亡くなったことから
ムウもちゃんと悔いのないように
人生を生きなきゃいけないと思ったこと

それをルウに伝えようと思ったタイミングで
ガブちゃんのことがわかったこと

だからなおさら
ちゃんとそういう部分も認めて、許して
自分を生きようと思ってること


とってもとってもドキドキしたけど
娘たちの反応は驚くほど大丈夫だった

みんながいる場だからかもしれないし
実感が湧かないからかもしれないけど
今の時代の子達にとっては
そんなに珍しいことでもないのかもしれない

何より
へー、だからか
と、今までのむうのあり方を
逆に納得できた様子

へー、だから
普通の父親みたいじゃなくて
おしゃれとか洋服の買い物とか
果てしなく一緒に楽しめるんやねーとか

だからどこまでも優しいんやねーとか
こんな人を求めてもいるわけないねーとか

そんなことを笑いながら話してた

そして
ルウが今はむうのことを
“家族“としてしか
見られない様子であることも伝えた

えーー??
なんでーーー??

それが1番、ショックだったようで

パパとママの関係は大丈夫よね?

お互い好きなんだよね?

ね?


何度も何度も

彼女たちにとって
パパとママはいつも呆れるほど
当たり前に
ラブラブでバカップルだった

それに関してはまだわからない
むうとルウにもわからない

だけどきっと大丈夫と伝えた

ほんとに申し訳ない

ルウにも娘たちにも

むうが普通だったら
こんな思いをさせずにすむのに


ごめんね。

でも、大丈夫

きっとなるようになる
きっと

そんなこんなで告白を終えた

大きな大きなわがままで
大きな大きな告白だった

これは終わりじゃなく
大いなる道のはじまり

告白が終わったタイミングに
見計らったかのように
りゅうちぇるとペコちゃんが
離婚したニュースが目に飛び込んできた

りゅうちぇるが本当のことを伝えて
夫はやめるけど家族として生きていくと

なんかすごいタイミングやなぁ

いろんなことが繋がってるなぁ


ほんと、神様が見てるなぁっと思えた


むうも
形はどうあれ
許されるのであれば
ルウのそばにはいたい

関係は変わっても
一緒に歩いた道は変わらないし
これからもその道はきっと続いてく

むうの全部が出せてなかったけれど
それは決して偽りの人生なんかじゃなくて

ずっとずっと本当だった


そしてこれからも、きっと

なんていいながら
一人、感慨を深めていると

おいおい、

そもそも全部を全部
さらけ出せる人生なんて
そうそうあるわけないんだから

いままでもいまもこれからも
ずいぶん、わがままにありのままを
さらけ出して生きてきてると思いますけどー



うちなる声が叫んだ

はい、そうですね、
その通りですね、あい、すいません、笑

翌朝、あんは孫たちを連れて家に戻り
のんとユーは
京都の大学のオープンキャンパスと
採用試験が終わったご褒美旅行として
初めての姉妹旅行に出かけた

駅に送った別れ際、

パパ、私たち(子たち)は大丈夫だからね 


と言い残して

教訓
:話すとずいぶん楽になる
:元々何かが変わったわけじゃない
:そのままの自分を現すことは罪じゃない
:理解や受容を期待してはいけない
:そして結果どうなるかはわからない

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