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娘とのしりとり遊びから感じられる幸せ

 最近娘はよく寝る前にしりとりをしたがる。

 半年くらい前まではすぐに言葉に詰まってしまい投げ出すことも多かったため、こちらからの誘いにもなかなか乗ってもらえなかった。
 普段の会話ではそれなりに多くの単語を話しているようだったが、ゲームになった途端思うように言葉が出なくなるようだった。

 その代わりに娘自ら「『あ』がつくものなーんだ?」と言って、二人でひたすら「あ」がつく単語を並べていく遊び?を毎日のようにさせられた時期もあった。(だいたいお題はいつも「あ」と「た」と「ら」の3つだけだった)

 それが4歳を過ぎてメキメキと言葉を自在に操れる力がついてきたようで、難なくしりとり遊びを楽しんでいる。寝落ちと戦いながら次の単語を探す母に助け舟を出すほどである。

 娘とのしりとりを楽しむ上で、気をつけていることが2つある。

 1つ目は「まだ知ってる単語があるはずだけどそれが出ずに困っているときはヒントを与える」ことだ。これは、娘の方から私の順番でも知っている単語があると教えてくれていたので、暗黙のルールとして採用することにした。
 このルールがあることで、本来お互いが敵同士となるしりとり遊びが、一転してチームワーク戦のようになる。

 2つ目は「相手が失敗したり言葉に詰まったりしても喜ばない」ことだ。もともと二人で協力して言葉を繋いでいるので、自然な流れではあるのだが、娘にとってはとりわけ重要なのである。

 もともとうちの娘はかなりの負けず嫌いだった。母である私も三人姉弟だったこともあり、幼少期は同じくなかなかの負けず嫌いだったので、不思議ではなかった。
 しかし、娘の場合は負けず嫌いが転じて「負けたくないから初めから戦いたくない」にいつの間にかなってしまったのだ。
 原因の一つは、娘がもう少し小さい頃に一時期ハマっていたおすしカードゲーム(寿司ネタの神経衰弱)で、大人たちが娘に接待し過ぎたせいだろうと推測している。

 「勝ち慣れ」してしまった娘は、次第に負けるとその遊び自体をやめるようになってしまった。それがひどくなり、通っている保育園で鬼ごっこやかくれんぼの「鬼」しかやりたがらないと聞いたときには、さすがにヤバいと思った。

 最近の子供たちは競争心があまり無いと以前からよく耳にはしていたが、娘は現在絶賛競争心ゼロだ。今のところ一人っ子であることも関係があるのかもしれないが、一人っ子論争については長くなりそうなので、ここでは割愛する。

 とにかくせっかくゲームとして楽しめるようになったしりとりを、「はい、『ん』がついたから娘ちゃんの負け。」「よっしゃー!ママの勝ち!」と私一人が勝敗を楽しむことで奪ってしまいたくはないと思う。

 娘の「負けたくないから戦わない」というスタンスについては、それが良いか悪いかを含めて今後も向き合っていかなければならない問題であることは間違いない。しかし、娘はまだ4歳。先の長い人生、まずは何事も楽しむことを大切にしてもらいたいというのが私の個人的な想いである。

 私自身もまたぬくぬくの布団に包まれてまどろみながら、隣にいる娘が「『ま』は〜、ママ!」と満面の笑みを向けてくれる、この愛おしい時間をもうしばらく楽しんでいたい。

 

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