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最後の夜なんて嘘じゃんか。


「会うのは最後にします」
君にそう言われてしまった。
最後だからお泊まり会をすることにした。
今日がその最後の日だった。


君の話のまとめ



初めての宅飲みだねってルンルンしてる君は可愛くて、
そんな君を後ろから見ていた。


必要最低限の物しか置いてない君の部屋は
いかにも男の子って感じの部屋だった。
でもそれにしては妙に綺麗に片付けられていて、
わたしとは正反対の性格なんだなって思ったよ。
たった2回しか来たことのないこの家だけど
君の匂いでいっぱいのこの部屋とのお別れ、
もう来ることはないのかって考えると、
少し悲しくなった。


部屋に着くとすぐに君はグラスに氷を入れて、
「さ、飲みましょう」
と、ハイボールを2人分作って乾杯をした。
君の家に着いたのは15時。
この時間からお酒が飲めるなんて幸せだねって
笑ってお酒を飲んだ。


3、4品くらい君はおつまみを作ってくれた。
どれもこれもとってもおいしくて、
いつも顔を見て話す君を真似て
「美味しいね」
と、君の顔を見て言うと、
君はすぐに顔を逸らして「だろー!」って
お調子者みたいなこと言うんだ。
いつも恥ずかしくなる言葉を目を逸らさずに
言ってくるくせに、
自分が褒められると咄嗟に目を逸らすんだね。
それがまた可愛くって、ついつい褒めたくなる。
結局君とは夜中の3時まで永遠に酒を飲み進めた。
時にはバイトの時の話をして、
時にはテレビを見ながら話をして笑って
時にはゲームをしながらお酒を飲んで。
楽しくって幸せだった。
時間なんてあっという間だった。


2人で7時間で
ビール4〜5本、日本酒1本、ウイスキー1.8本を飲んだ。
冷静になればわかる、飲み過ぎだよね。
けどあの時はそう思えないくらい楽しくって、
今日はお酒に飲まれちゃってもいいかななんて、
楽しくてそう思えちゃってたんだ。


ベッドに行ったことは覚えているけど、
気付いたら朝だった。
そのことを起きた後君に伝えると、
君も覚えてないって言うもんだもの
顔を合わせて笑った。
「めちゃめちゃ楽しかったね昨日」
って、2人で布団の中で笑い合った。


会うのはこれで最後と言っていたのにも関わらず
「次はいつ会えます?」
なんて聞いてくるもんだから
「これで最後にするんじゃないの?」
と聞くと、
「んん、昨日、めちゃめちゃ楽しかったんです、本当に」
「やっぱりなんか、好きなもんはどうしようもないですよね、会いたいです」
なんて君はいうもんだから
結局次の約束を取り付けてしまった。
すると君はにこにこしながら、
「じゃあ次はなに食べます?サムギョプサル良くない?」
と、食べるものまでしっかり決めちゃってさ。


君を好きになりたくないのに、
どんどん好きになっている自分がいた。
嫌だなあ、好きになりたくないなあ。
もう、好きになってくれた人のことを好きになって
嫌われるのなんてごめんだった。
なのに、君に会いたくなってしまうし、
君のことを考えると泣きそうになってしまうんだ。
おかしいよ。
君のことなんて全然タイプじゃないもん。
顔だって、わたしは塩っぽい顔が好きだもん。
目だってつり目よりもたれ目が好きだもん。
身長もわたしよりももっと高い人が好きだし、
体型もわたしよりも痩せてる人が好きだもん。
君はどれにだって当てはまらないじゃん。
なのに、なんでなの。
君の笑った顔が見たくなるし、
笑った声が聞きたくなってしまうんだよ。
なんで君に会いたくなってしまうんだろう。

会ったのは2日前なのに、
無性に会いたくなってしまって
「なんだか突然会いたいと思ってしまったかも」
と、LINEを送っているわたしがいた。
「俺は仕事終わって帰ってきてからずっと会いたいと思ってましたよ」
と、送ってくれた。
その日はわたしが夢に出てきたと言っていて、
君だけわたしに会えるなんてずるいなあと思った。


めんどくさい考え全部捨てて君と一緒になれたら
きっと幸せなんだろうな。
君といろんなところへ行きたいなって思うし、
君とたくさんおいしいものを食べてお酒を飲みたいなって思う。


もういい大人なのに、それなのに
君の好きがずっと、永遠に続けばいいと思ってしまう。
付き合ったら君のタイプじゃなくなっちゃうわたしのことも
まるごと全部永遠に好きだと思って欲しいと、
そんな図々しいワガママなことを考えてしまう。


結婚しても子どもが欲しいと思えないわたし。
君は子どもは絶対欲しいって言うもんだから
「じゃあわたしと付き合えても結婚はできないね」
って、言って笑った。
わたしが好きだなって思う人はみんなそうだ、
みんな子どもが欲しいんだ。
そう思えないわたしはどこかおかしいのかなあ。
一軒家だって素敵だなって思うけど、
欲しいとは思えない。
みんなが当たり前のように思い描く幸せを、
わたしは窮屈に感じてしまう。


そんなわたしも丸ごと全部かわいいって言って、
わたしの顔をまっすぐ見て好きだとずっと言っててよ。


このままじゃ君を好きになってしまいそうで、
でももう怖いんだよ本当に。
君の愛し方はどうも元カレとかぶってしまう。
だから元カレと同じ結末を見てしまうんだ。
あれが本当にしんどかったから、
同じ結末になるのが嫌なんだよなあ。
おかしいね、いつからこんな臆病になったんだろ。
でもたくさんの好きとか可愛いとかの甘い言葉を
かけてくれた人から突然突き放されるのは
結構本当にメンタルやられるんだよなあ。
そんなに盲目だったのに目を覚まさせてしまうような
人間なんだなわたしはって自己嫌悪に陥っちゃう。


一旦、冷静にならせてね。
だから一度元カレに会いに行かせてね。
それでも君のことが好きだって思ったら、
少し考えてみようかな。



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