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最近読んだ栄養に関連する書籍

栄養学・栄養療法の世界に入ってはや1年。栄養関連の書籍も増えてきたので備忘録として残しておこう。

一般書籍 ~何をどう食べるべきか~

健康的な食事とはどのようなものか、医師である著者が解説している。糖尿病や肥満の治療に長年携わってきた医師であり、血糖値のコントロールについての記載が豊富な印象。この本も然り、所謂「医者が教える〇〇」系の書籍は参考文献が充実している点が嬉しい。

こちらも医師が著者の書籍で、上で紹介した「医者が教える食事術」と内容は似ている。こちらは研究論文を重視して、食品が身体に良いか、悪いか解説されている。「医者が教える食事術」よりはやや専門的な印象。

今日までの栄養学を牛耳っている「リダクショニズム(還元主義)」から「ホーリズム(全体主義)」へのパラダイムシフトを促す書籍。食材に含まれる有効成分を特定し、その有効成分を化学合成して摂取すれば同等の効果が得られるだろうというリダクショニズム的な考え方に対するアンチテーゼを提示する。リダクショニズム的な栄養学は製薬業界、食品業界に莫大な利益がもたらす一方、肝心な人々の健康には寄与できていない、むしろ悪影響をもたらすこともあるという、この学問領域と業界の構造的な問題についても指摘している。

表紙が印象的な筋トレ本だが、筋肉づくりにおけるタンパク質摂取に関して詳説されている。スポーツ科学研究者による原著論文の解説も豊富。

胃がん・食道がんの患者病態と、病後に必要な食事について解説されている。本の後半は実際の食事レシピも豊富に記載されている。


基礎・一般 ~学問としての栄養学~

管理栄養士を目指す学生の教科書。栄養の概念、定義から始まり、栄養素の代謝、消化吸収、体内動態、各栄養素まで幅広く学べる。栄養関連の書籍は多くあるが、そもそもの「栄養」の定義は直ぐに出てこなかったりする。

...外界から適当な物質を取り入れて生活現象を営むために活用することを栄養といい, その取り入れる物質を栄養素という. 栄養学とは, この栄養に関する一切の現象を科学的に究明する学問である.

基礎栄養学と臨床栄養学を繋ぐ土台としての教科書。身体状況によってどのような栄養管理、栄養指導が必要かの解説が中心。無重力環境での栄養管理も記載されていて驚いた。

副題が「オールカラービジュアルコンパクト栄養図解」であり、基礎栄養学の内容を中心に図で解説されている。改訂5版まで出ており、図のクオリティは高いと感じる。オリジナルはドイツなので、日本の食事摂取基準等は掲載されていない。


応用・臨床 ~患者と向き合う医療従事者の集合知~

臨床栄養の世界史・日本史。経腸栄養のルーツが古代ローマ・エジプトまで遡るなど、誰かに話したくなるトピックが多い。臨床栄養研究の歴史においいて金字塔となる論文が多く掲載れている。参考文献の数は何と324。

日本静脈経腸栄養学会のオフィシャルテキストブック。読み物というよりは辞書的な使い方になる印象。

メディカル・サイエンス・インターナショナルが発刊している、集中治療分野の季刊誌。急性期医療における栄養療法に関する特集が前後編で組まれている。

脳卒中に特化した栄養療法の解説書。医師、看護師、薬剤師、管理栄養士など、多職種に渡る医療従事者が執筆に関わっている。術前、術後、リハビリテーションの各段階で求められる栄養管理について症例提示も交えながら解説されていて、脳卒中患者の栄養管理をトータルカバーしている。

2021年に出版された書籍。医師向けの栄養療法の本で、問題を100題解くことで栄養の評価や指示の方法が身に付く。基本編と実践編の2部構成。問題の多くが具体的な患者を想定したものとなっており実践的。


番外編

科学誌ニュートンの2021年2月号の診療科別医療ガイド。各診療科の役割や対象患者、術式などをおおまかに把握できる。

臨床研究論文はどのように構成されているのか、研究はどのようにデザインされているのか、結果をどう解釈すれば良いのか等々、臨床研究論文の読み方の指南書。私自身、この業界に入ってから臨床研究論文を読むことが増えたが、これを読んでから非常に読みやすくなった。

臨床研究論文や基礎研究論文で使われる英単語・述語の学習書。実際の論文で使われている文が使われている。書店の英語コーナーに無くても、医学書コーナーに置いてあることが何度かあった。

解剖学の図鑑。図がとにかく綺麗。辞書的に使っているが、自分の身体の隅々まで固有の名称が付けられていると実感できる。英語名称も併記されている。

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