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論文紹介|教育格差と栄養格差の大規模マッピング【JOCV Day183】

低所得国と中所得国における格差に関する研究が、英国科学誌Natureの先週号に掲載された。

栄養は、小児期の罹病率と死亡率の重要な決定要因である。同様に、教育達成度は、小児の健康の重要な決定要因である。今回S Hayたちは2報の論文で、アフリカから中東、アジアから南米に至る約100か国の低所得国および中所得国について、2000~2017年における小児の成長障害と教育達成度を行政区レベルで高分解能マッピングしたことを報告している。どちらの分野でも大きな進捗が見られたが、多くの国に大きな地域格差が残っていることも明らかになった。どの地域の子どもにも可能性はあるが、与えられる機会は地域によって異なるのである。
http://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/101725

原著論文はオープンアクセスで無料でダウンロード可能となっている。

「低所得国と中所得国における小児の生育障害のマッピング」

「低所得国と中所得国における教育達成度のマッピング」

いずれの論文も、世界100カ国以上、300以上の研究機関による合作となっている。研究を主宰しているのはワシントン大学の衛生基準・評価研究所(Institute for Health Metrics and Evaluation, University of Washington)である。

日本からの参加機関は以下のようになっている。

「低所得国と中所得国における小児の生育障害のマッピング」
/Department of Dermatology, Kobe University
/Department of Diabetes and Metabolic Diseases, University of Tokyo
/Department of Psychopharmacology, National Center of Neurology and Psychiatry
「低所得国と中所得国における教育達成度のマッピング」
/Department of Dermatology, Kobe University
/National Institute of Infectious Diseases
/Department of Diabetes and Metabolic Diseases, University of
Tokyo
/Department of Psychopharmacology, National Center of Neurology and Psychiatry

ヨルダンからはヨルダン科学技術大学の公衆衛生学部(Department of Public Health, Jordan University of Science and Technology)がいずれの研究にも参加していた。

国レベルではなく、行政区レベルでマッピングしている。上の論文上では細かくは見られないが、IHMEのサイトから高分解能のマッピングデータを見ることができる。

「低所得国と中所得国における小児の生育障害のマッピング」

「低所得国と中所得国における教育達成度のマッピング」

今回は概要の紹介にとどめるが、国際協力に携わる人、国際協力分野で働きたい人は一読すべき論文だろう。私は専門外ということもあり、ノートパソコンをスクロールしながら読んで理解できる内容では到底無かった。データの取り方や考察など、追って投稿したいと思う。ヨルダンの行政区間でどれくらいの差が生まれているのかも非常に気になる。



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