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植物紹介|ギリシャのイチゴの木【JOCV Day171】

3回目のヨルダンの植物紹介では「ギリシャのイチゴの木」を紹介する。

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常緑の低木で、秋から冬にかけて赤く綺麗な果実をつける。食用としても使われている。英語圏では"Greek Strawberry Tree"という名前で通っているようで、直訳すると「ギリシャのイチゴの木」となる。アラビア語では"قيقب"(qyqeb)、"قَطْلَب"(qatlab)と言い、職場のスタッフは前者の名称を使っていることが多い。

学術名は"Arbutus andrachne"と言う。大切なことなので繰り返しになるが、学術名はイタリック体、つまりは斜体で表記するのがお作法であるが、noteでイタリック体が使えない、あるいは私が使い方を知らないため、通常の書体で表記している。地中海沿岸地域から中東にかけて幅広く生育が確認されている。

分類ではツツジ科イチゴノキ属に入る。ちなみに日本でフルーツとして一般的なイチゴ(苺)はバラ科オランダイチゴ属に入るため、「ギリシャのイチゴの木」とは少し異なる。果実がイチゴ(苺)に似ていることから「イチゴノキ」名付けられたようだ(「みんなの趣味の園芸」ホームページより)。

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果実の大きさは1~2センチ程度。そのままでも食べられ、実際に私も食べてみたが、熟していない黄色い果実は渋かった。日本で流通しているイチゴ(苺)ほど甘くは無かった。

地中海沿岸や中東地域では古くから食用とされてきたようだ。他の果物や野菜のように抗酸化作用に関する研究が行われている。ヨルダン科学技術大学(Jordan University of Science and Technology, JUST)を中心とした研究チームが"Arbutus andrachne"の抗酸化作用について研究した成果を2017年に発表している。

睡眠遮断によって誘発される記憶障害が、"Arbutus andrachne"からの抽出成分を投与することで軽減することをラットで示した論文である。抽出成分が投与されたラットの脳の海馬の領域では、酸化ストレス指標である酸化型グルタチオンと還元型グルタチオンの比(GSSG/GSH ratio)の睡眠遮断時における増加が、未投与のラットに比べて抑えられたと報告している。

論文のフルテキストは有料だったので、詳細な解析データは見られなかった。「ギリシャのイチゴの木」の抗酸化物質が何かは要旨だけでは分からなかったが、ヨルダンの研究機関がこの植物のポテンシャルを引き出そうとしている。

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