見出し画像

フィリピン人が「お金を貸して」と言ってくる

フィリピン人の友達に「お金を貸して」と言われて困っている人の話を聞いた。学校の先生が病気になって、手術前の検査に10万円必要らしい。悩んだ結果、半分の5万円をあげるつもりで渡したそうです。

もう10年以上フィリピンに関わっているので、自分もいろいろあったなあと思い出した。これからフィリピンに関わる人は経験するかもしれないので、知っておいてほしい。フィリピンあるあるの1つです。

大前提として、僕のお金の貸し借りについての基本姿勢は決まっている。お金は借りない。貸さない。与えることは当たり前化するし、与えられることも当たり前化する。だから相応にいいことがない。そういうポリシーです。奢られるのもあまり好きじゃない。

日本にはお金の貸し借りの文化がない。僕の周りの日本人にはお金の貸し借りをする人はほとんどいない。困っていたとしても、多分自分でどうにかする。だけど、日本でもたまに「カネ貸して」という人がいる。返ってこないかもなあと思って貸したことはある。で、やっぱり返ってこない。フィリピン人はもっと気軽に「金を貸してくれ」と言う。今まで、何人に言われたかわからない。

カトリックでは与えることは美徳?

フィリピン人が気軽に金を要求してくるのは、カトリックが関係していると思っている。カトリックでは持ってる人が与えるそうだ。フィリピン人同士のお金の貸し借りは日常的に行われている。

路上に物乞いがいっぱいいるけど、彼らに与える人もいる。与えることを美徳と考えている。僕はカトリックじゃないからわからないけど、たぶんあってると思う。そして、カトリックを否定するわけじゃないけど、僕は与えることを美徳とは思ってない。

ググったら、Quoraっていう英語版のyahoo知恵袋みたいなサイトに、フィリピン人とお金にまつわることがいろいろ書かれていました。

Why do almost every Filipino/Filipina take a loan as a gift? An officer of an embassy in Manila told me that "Pinoys never pay back a loan to you if you're white".

いろんな国の人が、「なぜフィリピンは恥ずかしげもなくお金を貸してくれと言ってくるのだろう?」って書いていました。

今を生きるフィリピン人

日本人は比較的将来に対して生きている。長期的に人生プランを考えてる。だから、将来の準備をする。貯金する人も多い。いま我慢するときと思ったら我慢もできる。世界で見ても変わった民族だと思う。

フィリピン人は今を大切にしている。いつ死ぬかわからないから今を生きる。いまを全力で楽しむ。お金はすぐ使っちゃうし、残す気もない。お金に関しても恋愛に関しても同じ。ムーディーなんです。誰かと会う約束をしてても、気分が乗らなかったらドタキャンする。雨が降ってて行きたくなかったら行かない。感情に素直に生きてる彼らはある意味わかりやすい。動物的に正しい。

逆に日本人は考えすぎる。だからわかりにくい。考えすぎて不幸になってる。老後のことを考えて不安になる人もいる。フィリピン人はそんな先のことをあまり考えてない。老後になったら子供が助けてくれる?老後まで生きてる?わかんないけど、なんとかなるだろって感じです。

フィリピン人が病気になった時どうするか?

日本人同士でも難しいのに、そんな文化差がある中でのお金の貸し借りはめちゃくちゃ難しい。友達が病気になったときは悩む。病気って自業自得な要素もある。食生活や運動である程度予防できる。将来に対して何も準備しなかった人が悪いやんっていう気持ちは正直ある。

しっかりリスクを考えて堅実に生きている人が、なにも考えてない人をなぜ助けないといけないの?って気持ちもある。だけど、どんな理由であれ友達が困っていたら助けたい。そういうものだと思う。

手術するお金がなくガンで先生が死んだ

知ってるフィリピン人の先生が死んだときはショックだった。ガンになって29歳で亡くなった。僕が2012年に留学したとき、当時大学を卒業したばかりの若い先生だった。田舎の子で、めっちゃ真面目、ピュアな子でした。病気になったとき、彼女の友達がクラファンを立ち上げて手術費用のカンパをFacebookで募集していた。

お金は出さなかった。そして、その数か月後にその先生は亡くなった。その子の友達が先生をタグづけしてFacebookに投稿したのが流れてきた。葬式の様子だった。お金を出したら助かったのか?お金を出さなかった自分は正しかったのか?自問自答したがわからなかった。心が苦しかったし、後悔する気持ちはあった。

日本じゃありえないけど、病気で29歳でなくなることが身近にある国。それがフィリピン。お金を払ったから延命したのかもしれない。根本的な解決じゃないけど、それでもいいのかもしれない。いまだに何が正解かわからない。だけど、僕は今後もお金は出さないだろう。誰かが払っちゃうと、「誰かにお願いしたら誰か払ってくれる」という気持ちが永遠になくならないと思っているからです。

お金を貸さないから友達との関係がギスギス

僕はスタンスがはっきりしてるんで、普段からフィリピン人の友達にも言ってる。「日本にはお金を貸す文化はないから、俺は貸さない。出かけるときはあなたの負担にならないローカルなお店に行こう。割り勘でいいんじゃない。」僕が行きたい店に呼ぶときは、「今日は俺がお金出すから行こう!」って最初から言う。普段からそう言ってるから、知り合いから金貸してって言われることはない。だけど、困ったときは、ダメ元でお願いしてくるのがフィリピン人です。

ある時、付き合いがそこそこ長いフィリピン人が相談があると言う。だいたい想像はできた。「あなたのスタンスを知ってるし、こんなこと言うのは、ほんとに恥ずかしいんだけど、いろいろ事情があって本当に困ってるから、10万円貸してください。絶対返しますから。」って言われた。助けたい気持ちはあったけど、はっきり断った。ただ、「大変なときだから今日は俺が払うよ」ってご飯のお金は払った。

はっきり断っているからもう終わったと思っていた。だけど、会うたびに言われる。そして、だんだんお願いの仕方がカジュアルになってくる。最初は低姿勢だったのに、

「お金貸してー!」

「3万ならどうだ!」

「2万ならいけるだろ!」

みたいになってくる。それで、もう無視。既読スルーです。

友達としての関係性は弱くなった。フィリピン人からしたらなんで貸さないのか理解できないんだと思う。どうするべきかわかんないけど、やっぱり僕は貸さないことにしている。僕はボランティアもしない。

日本人はもっと今を大切にしてほしい。フィリピン人はもっと将来のことを考えてほしい。お互い相手から学べるはず。


よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!