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私が漫画家になれなくてデザイナーにはなれた理由

こんにちはRame(ラメ)と申します。
最近、社内のとある研修を受けていて『自分が挫折したこと』について考える機会がありました。

そのお題を聞いた瞬間、自分の心にずっとあり続けているしこりについて思い出さなくてはなりませんでした。


漫画家になりたかった幼少期〜学生時代

私が挫折したのは過去をどんなに振り返ってもたった一つです。それは幼少期から目指していた『漫画家』という夢です。
(それ以上の挫折については絞り出そうとしても思いつきませんでした)

小学生の時から漫画を描くのが好きで、物語を作るために都市伝説やマザーグースについて調べ、中学〜高校の頃には絵を上達させるためユザワヤや世界堂でGペンやトーンにお小遣いを投資し、人物のデッサンや三点透視図法などのパースの勉強にも時間を費やしました。一人で遠くへ出かけて、物語の舞台に使えそうな洋館(横浜山手西洋館)などに写真撮影にも行っていました。

大学生になると聖書や悪魔について調べ、やがてドストエフスキーやツルゲーネフなどの海外文学に興味を持ち始め、かなり独特な世界観で作品を描いていました。この時からハッピーエンドより未完の色合いの濃い物が好きで作風に現れていたと思いますが、今思うとなかなか人が読んで面白いと思える世界観ではなかったなーと思います。

やがて実際に出版社へ作品を持ち込むようになりました。ぼちぼちコンテストに応募することもありました。漫画編集者には起承転結は評価してもらえるものの大衆にウケる要素がないと遠回しに言われ、絵はうまいけれど欲しいのは100人に1人の逸材だとも言われました。

そして就職活動期を迎え、私は漫画家の道を諦めてデザイナーの道を選びました。実際に学生時代に描いた漫画と気まぐれで作ったLINEスタンプなどを面接に持ち込んだことで採用担当者に気に入ってもらい、飲食企業の小さなセールスプロモーション部で未経験でWebデザイナーとして採用してもらえることになったのです。

ものすごく順調だった(気がする)デザイナー時代

デザイナー駆け出しの頃は、デザインの引き出しを増やし徐々に自分のデザインが評価され指名されることにやりがいを感じていましたし、イラストが描けることでデザイン以外の変わった企画などにもアサインしていただき、数字として出ることにモチベーションも感じられたので、もしかしたら天職なのかもしれないと思っていました(もちろん本当に最初の頃は『デザインの概念がない』など言われたりもしました)。

ただ時折(また漫画を描きたい…)自分が顔を出すことがありました。好きを仕事にできる人が羨ましかったです。

ある時、なかなか要件通りにデザインを仕上げられない若いデザイナーさんがいました。私は彼女の案件には関与していなかったのですが、その案件のディレクターさんと仲が良かったので、なぜそんなにフィードバックや戻しが多いのかを聞いてみました。

『彼女が主観でデザインしているうちはOK出せないんだよ。人の意見に意地張ってるうちは商業のデザインは無理だ』

その瞬間、自分がなぜ漫画家になれなかったのか、ならなかったのかを今一度確認することとなりました。あえて結論を出すことをしないでおいたところをこじ開けられたような気持ちになりました。

漫画以上に『やりたいこと』なくなってしまった

私は今でも絵を描きますが、それは友人の誕生日の似顔絵とか結婚式のウェルカムボードとか、趣味でやっているシルクスクリーン版画とかそんな時だけです。絵で稼ぎたいという気持ちは今はもう一ミリもありません。

有名な孔子の言葉で『汝の愛するものを仕事に選べ、そうすれば生涯一日たりとも働かなくて済むであろう』という一文がありますが、本当に好きなことを仕事にするのは凡人の私にはとても難しいことだと感じます。

というのも、今の仕事を好きになろうと楽しむ努力をしてみても、あの幼少期から学生時代にかけて無心で取り組んできた漫画制作以上に純粋に情熱を注げるほどにはどうしてもならないのです。

デザインは好きです。そして現在はWebデザイナーだけでなくクライアントエンジニアとしても働いていて、間違いなく楽しいという感情・瞬間はあります。ただどこかで楽しもうと暗示をかけている自分も同時に存在します。

だからこそデザイナーは続けられる

漫画を仕事にすることができなかったけれど、社会人として数年が経ちWebデザイナー・Webエンジニアとして働いてきて、これはこれでよかったと思っています。

なぜならあの情熱を注いできたものに苦しめられるのは、楽しいことを奪われることよりもきっともっと辛いと思うからです。

だからこそ今はこの仕事が続けられていると思っています(結果論でしかありませんが)。もしかしたらまたいつか、あの頃のように無心で取り組めるなにかに巡り合えることもあるかもしれません。

そんな淡い期待をいだきながら今の仕事を楽しんで日々を送っています。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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