米国株:バブル崩壊前に100ドル投資したら2020年末にはいくらになっているか、調べてみました

S&P500に勝ち続けているセクターがあるのか、調べてみました」では過去10年のセクター別パフォーマンスを調べ、情報技術、一般消費財、通信サービスセクターがS&P500をアウトパフォームするのではないかと書きました。その後セクターETFについて調べていたら、ステートストリートのセクターETF(SPDRシリーズ)が1999年からの年別パフォーマンスを調べられたので、それをもとにITバブル崩壊前、サブプライムローンバブル崩壊前に100ドル投資したら、2020年末にはいくらになっていたか調べてみました。

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通信サービスセクター(XLC)は以前は電気通信サービスセクターだったのですが、電気通信サービスだったころの情報を得られなかったので2019年以降の情報しか得られませんでした。また不動産セクター(XLRE)は2016年以降のデータしか得られませんでした。ですのでこの2つのセクターについてはその前年末に100ドル投資したらのパフォーマンスとなります。

1999年末(ITバブル崩壊前)に100ドル投資したら2020年末にはいくらになっている?

結果は以下の通り。

ITバブル(2000-2020)

ITバブル(2000-2010)

2020年に何ドルになっているか。

ITバブル2020年リターン

情報技術セクターは2000年から2002年にかけて下がり続け、2002年末には100ドルが25ドルになりました。3年間で75%の下落です。このインパクトはとても大きく、情報技術セクター以外は2005年には100ドルを回復しているのに対し、情報技術セクターは34ドルと低迷したままです。これが足を引っ張っているせいか、S&P500も100ドルを回復できてません。情報技術セクターが100ドルを回復するのは2019年(137ドル)で、それまでは100ドル以下を推移しています。

2002年末時点で80ドル以上を維持しているのはヘルスケア、金融、生活必需品、エネルギーの4セクターでした(S&P500は60ドル)。

ITバブルの次はサブプライムローンバブルで、こちらは金融セクターが大ダメージを受けましたが情報技術セクターもダメージを受け、2008年には23ドルまで下がりました。

2020年末時点でS&P500をアウトパフォームしたのは一般消費財、ヘルスケア、生活必需品、公共事業、資本財、素材でした。エネルギーセクターは2013年までは一番パフォーマンスが良かったのですが、その後右肩下がりになりました。何があったのかなと思い巡らせてみると、シェール革命とかクリーンエネルギーとかが関係しているんでしょうか。これらとの相関についてはちょっと分かりませんでした。

2006年末(サブプライムローン・リーマンショック前)に100ドル投資したら2020年末にはいくらになっている?

結果は以下の通り。

サブプライムローン(2007-2020)

2020年に何ドルになっているか。

サブプライムローン2020年リターン

先にも書きましたように、サブプライムローンでは金融セクターが大ダメージを受け、2007年から2008年にかけて下がり続け、35ドルになりました。2年間で65%の下落です。やはりこのインパクトは大きく、金融セクター以外が2011年には100ドルを回復しているのに対し、金融セクターは一旦上昇するものの35ドルに戻りました。金融セクターが100ドルを回復するのは2019年(106ドル)でした。

2008年末時点で80ドル以上を維持しているのはヘルスケア、生活必需品、エネルギー、公共事業の4セクターでした(S&P500は65ドル)。

2020年末時点では情報技術セクターがダントツのパフォーマンスを叩き出していますが、これはITバブルがはじけてサブプライムローンの頃でもかなり安くなっているのと、2019年、2020年のパフォーマンスが非常に良かったためです。

2020年末時点でS&P500をアウトパフォームしたのは情報技術、一般消費財、ヘルスケア、生活必需品、資本財でした。

まとめると

どの期間を切り取るかで大きくパフォーマンスが異なることが確認できました(特に情報技術セクター)。

バブルがはじけると、バブルが起きたセクターは悲惨な結末を迎え、元に戻るのに10年以上かかっているのがわかりました。ITバブルとサブプライムローンしか見てませんが、バブルがはじけきるまで2~3年はかかっているので、底を拾おうと思っても慌てる必要はなく、しっかりと地面に刺さり、振動が収まるまで待てばいいというのが分かりました。

またバブルがはじけても、比較的下がらなかったセクターはヘルスケア、生活必需品、エネルギーと言えそうです。この3つのセクターは、ジェレミー・シーゲル博士の「株式投資の未来(日本語版は2005年に出版)」の中で紹介していたセクター戦略(石油および天然資源、医薬品、有名ブランドの生活必需品)と一致しており、ヘルスケア、生活必需品は2020年末時点のパフォーマンスでも好パフォーマンスを叩き出しているので、「シーゲル博士、スゲー!」となっています。ただ、ヘルスケアや生活必需品でバブルが起きた場合はどうなるのかは分かりません。エネルギーセクターはこの数年間下がり続けているので、エクソン・モービル、シェブロン(この2つだけでセクターの38.71%を占めている)に代わる何かが成長するか、石油からほかの何かに衣替えができるかがカギなのかなと思いました。

2020年時点でのパフォーマンスを見ると一般消費財も良さそうですが、バブルがはじけたときの下落率がヘルスケアや生活必需品などに比べると大きいため、この下落を受け入れられるのならアリなのかもしれません。しかしリスクを抑えたい場合は、ヘルスケアや生活必需品などを選んだ方がよさそうです。

あと情報技術セクターがこの直近10年のパフォーマンスが良いというか、良すぎるので、後年「○○バブル」と呼ばれるような何かがはじける可能性をはらんでいるかもしれません。私は情報技術セクターに偏ったポートフォリオを組んでいるので、他セクターへの分散を考えた方がいいのかもしれません。

ってことを考えると、S&P500を買えって結論になりそうですが。

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