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70歳で初めて長編劇映画を撮る●いよいよ映画編集 / 木の中の仏様の話


クランクアップしたばかりのときは、撮影後のやることの多さに溜息混じりだった。
それは前回の投稿を見ればわかると思う。
少なくとも映画完成までのプロセスは楽しもうと心を改めた。

映画作りは人生で最大のそして、この規模として最初の(そしてたぶん最後の?)道楽である。
道楽というと不謹慎に感じがするかもしれない。
まあ「道を楽しむ」が語義であれば、悪くもないでしょう。
ぶらぶらと一歩ずつ踏み締めて道を楽しもうと思う。

まず編集。
編集に「時間がかかる」ではなく、「時間をかける」に気持ちを転換した。
わが敬愛する(少しね)タルコフスキーは、「編集は撮ったフィルムの中に内在している」と言った。
これは仏師が「仏様は木の中にいる。自分はそれを掘り出すだけ」というのに似ている。

まだ撮影途中に編集に少しだけ手を付けた。
そこにはたしかに「仏さん」がいた。
しかし、残りの撮影は難しく複雑だった。
そのデータに「仏さん」を見出せるだろうか。
少し心配である。

今泥縄式に映画編集の本を3冊読んでいる。
それは技術の本ではない。
技術の本は僕の場合、ほとんど頭にも心にも入らない。
読んでいるのは、編集の先達たちの経験と理論。
仏さんをたしかに見出すための本である。
仏さんさえ見えれば、技術は荒削りでいい、そう思っている。

そういうふうにしかできないしね。


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