見出し画像

入院してなお自分で考え主体的であろうとした話


*救急車で病院へ

今回、痛風で入院した。
両膝が痛く、立ち上がることもできなくなって、ついに生まれて初めて救急車を呼んだ。

S病院が範囲にあったので、お願いした。
病院では僕は痛風だと言っているのに、自己診断はあまり信用されず(痛風では何回も発作が起きているが医者にかかっていない)なぜか皮膚科と、整形外科がでてきた。
皮膚科の女医さんは、膝は痛風か偽痛風かもしれないと言ったが、足の甲は感染症の危険があると言った。
水虫から菌が入って、蜂窩織炎(ほうかしきえん)が起きているのではないかというのだ。

痛風と何か他の病気が同時発生?
僕としては「そんなことあるの?」だったが、とりあえずおかげで入院になったのでよかった。
痛風ではどんな重症でも外来で返されてしまうらしい。
この誤診?のおかげで入院することができた。

CRPという炎症の数値が21と異常に高かったらしい。
通常は0,5くらいらしい。40倍以上ですかね。
痛風ではこんな数値にならないという判断で感染症を疑ったようだ。

僕が入院したかったのは、一重にトイレである。
脚が痛くてトイレに行けない、
起きるのに間に合わなかったら失禁である。

入院できなかったら……。
ということは考えられなかった。
妻は私よりずっと小柄で、非力。
面倒見のいい性格ではない。
しかも病院はベッドから起きればいいが、家は煎餅布団。
立ち上がるのが何倍もたいへんだ。
ゾッとするようなことが起きただろう。

入院は決まり、その相談。
やはり用便が気になる。
救急の部屋で「尿瓶ですかね?」と聞いたら、女医は「最近尿瓶なんか使うのかしら」といった調子。
導尿とか言っている。
それはちょっとやだな。

いざ、病室に行ってみると素直に尿瓶がでてきた。
医者と病棟では微妙にレイヤーのズレがある。
もっとも尿瓶も最初は透明のプラスチック。
次に不透明のプラスチック。
最後は再生紙で作ったらしい使い捨てタイプと変遷した。
やはり病棟でも尿瓶の使用は珍しいのかもしれない。

尿瓶の使い方については、独立したコラムが書けるくらいだが、ここではやめておく。

便器もベットサイドに置ける洋式タイプがセットされた。
薄いカーテンで仕切られただけだから、まったく落ち着かない場所であるが、ひとまず安心。
用を足すと看護婦さんが始末してくれる。
イヤな顔一つしないから天使さんである。

*点滴を1つやめる

2種類の点滴を打たれた。
救急でこの点滴何? と聞くと、ポカリスエットのようなものだという。
主治医的な皮膚科の女医が来たので改めて聞くと「水だ」という。
要するに水分補給だ。
それならいらないといった。

緊急度が低い以上、何百万年もの人類の歴史で検証ずみの「口から水を飲む」ことのほうがずっとよさそうだ。やんわり拒絶すると、医師も無理押しはしない。
点滴に「吸収がいいのはいいことだ」、という以上の根拠はないのだろう。

もう1つは1日2回の抗生物質。
感染症対策だ。
こちらもまったく気が進まないが、入院させていただいた名目が感染症なので、甘んじて受ける。

入院しても自分が主体でありたいと思う。
つまり、自分に何が必要かを選択する。
理容室に行ってもどういう髪型かは自分で選ぶだろう。
医療と理容はまったく相似形ではないが、医療であっても、最終決定は自分だ。

まして、今回、治療側の焦点が痛風とはズレている。

皮膚科女医のいうことには、痛風などは骨折と同じで「痛いだけ」だ。
その点、蜂窩織炎(ほうかしきえん)は転移すると命に関わる。
というようなことを言って威張っている。

僕が気になっているのは「痛いだけ(激痛)」の痛風だが、皮膚科の女医の関心や知識は薄い。
入院できて排便が便利になっただけで満足だからその態度には何も言わない。
しかし、具体的なことは改善して行かないといけない。

とにかく点滴を一つやめさせた。

痛風で皮膚科が主治医、整形外科がサブという感じは妙なものだ。
当然連携もほとんどない。

肝心の内科がいない。
もっとも内科がいないことは僕は気にしていなかった。
どうせ鎮痛・抗炎症ということで、ロキソニンを出し、治ってからは、尿酸値を下げる薬を出すくらいしか能がないと知っているからだ。

経験的にはロキソニンは、炎症が燃え上がっているときには焼石に水ほどの効果もない。
その割に副作用は甚大であるから、飲みたくない。

尿酸値を下げる薬も、そんなものに頼れば一生飲み続けなければならないからご免である。

皮膚科がどれくらい痛風に関心がないかといえば、退院して一週間後の外来で、血液と尿検査をしたが、その検査項目に尿酸値が入っていなかった!
皮膚科では気づかず、整形外科で、「あれ尿酸値がない?」ということになったのだ。残った血液で追加試験をお願いしたのだが、20分かかると言われて、結果は聞かずに帰ってきた。
痛風なのに尿酸値調べないって何?

ホリスティック医学どころか、痛風という一個の病気を丸ごと引き受けて判断するという機能がないのも不思議な感じである。

入り口が皮膚科というので、それくらいボタンが掛け違っている。

*シーネを手にいれる

入院の翌朝、整形外科の医者が覗きに来たが、これもトンチンカンで「リハビリの先生は来ているの?」と聞く。「いえ」と短く答えたが、炎症がひどくて激痛なのにリハビリもクソもない。

何をいうとるのだ? と思った。
しかし、そこから「そうか、理学療法士の先生がいるのか!」とピンと来た。
理学療法士を呼んで膝をテーピングしてもらえないか、皮膚科の先生に頼む。
膝が捩れる方向に少しでも動くと痛い。また寝ているときなど炎症を刺激してさらに悪化させてしまう。
固定するとずいぶん楽なのだ。
ふだん自分では、晒しをグルグル巻きにして固定している。
病院には晒しはないだろうから、テーピングならできるだろう。

この女医さんのいいところは、こちらがいうと、話をつなぐためには動いてくれることだ。

まもなく理学療法士に話をしてくれた。テーピングのテープはないという。
「ない」ということは、病院の予算に入っていないということで「ではお金を出すから買ってきて」ということにはならないのだろう。
また訓練や技術もないかもしれない。

それでも後で理学療法士が松葉杖など持って来るという。
もちろん必要なのは松葉杖などではない。
状況は医師の誰も把握していないから、一回一回伝えないといけない。

理学療法士は現状を見て、膝を少し刺激しても痛い有様に、すぐに添木、ギブス的なものが必要だということはわかったようだ。

「ギブスか。骨折でないと保険が効かない」というようなことを言っている。
医療関係の物品の値段はわからないが、あまり高いものが保険適応外だと困る。

そんな、やりとしているうちに、整形外科の先生が来て、さくさくっとシーネというもので固定してくれた。
これはマジックテープで厚手の生地を縛るギブスのようなもので、シンプルだがしっかり固定されて、じつに具合がよい。
これはナイスプレーであった。

このおかけで用便はだいぶ楽になり、夜中に捻ることもなくなったので、不安もなくなり、回復も早くなったと思う。

整形の先生の「リハビリはまだ?」と見当違いの発言をきっかけにすぐれものを手に入れて状況を改善した。

このシーネ、いくらなんだ? 保険適用外? と小さく心配したのであるが、なんか会計がまるっと一式いくらの一括請求方式になっていたので、その中に収まったようだ。
一つ一つの処置を積み上げて計算していたのでは会計処理がたいへんなので、ざっくりまとめる方法になったのだろう。
シーネは儲けものだった。
晒し巻くよりずっと簡単だ。
とっておけば次回にも役立つ。
いや、次回があるのは絶対いやだけど。

このように
今回の入院で僕が主体性を発揮したことは、少なくともあと3件ある。
2件は些細なこと? 1件は本質的なことだ。

次回に書くことにしよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?