見出し画像

セルフマネジメント事始め 2

<社会人、失格>

しかし、社会人として働き始めた私には大きな欠点があった。事務能力が極端に低いのだ。字が汚い、整理ができない、計算間違いをする、予定を立てられない、書類を紛失する、〆切を忘れる…。

ある日、出張に行こうと学校を車で出たものの、途中でどこに行っていいか分からなくなってしまい学校に電話をかけて確認してもらったこともあった。思い出すと今でも赤面する。

どうしたらいいのか。ずいぶんと落ち込んだ。授業のやり方は教わったり助言を受けたりするのに、仕事のやり方は誰も教えてくれない。当然と言えば当然なのだが。

<悪筆の克服>

字が汚い、というのは事務作業においては大変な悪影響がある。どんな素晴らしいアイデアでも書いたそばから価値の低いものに見えてしまうのだ。

職場の電動和文タイプライターを使ってもみたが、時間がかかりすぎるのと編集機能の欠落はいかんともしがたかった。

そこに福音がもたらされた。ワープロの出現である。当時は小さな白黒の画面しかなく高価で今から比べれば不自由極まりないものだったが、それでも、字の上手下手とは関係なく清書状態のものが簡単に得られるのだ。

幸い大学時代に初めて大型電器店でパソコン(日立・ベーシックマスター)に触れた時、これからはパソコンの時代だと直感、友人からタイプライターを借り教則本を買ってタッチタイプを習得していたので、ワープロの習得は非常に早かった。おかげで道具を使うことで仕事を遂行していく障害を一つ克服できた。


<システム手帳>


残る問題はスケジュールその他のマネジメントだ。相変わらずスケジュールやタスク管理のできないダメ人間だった私に大きな転機をもたらしてくれたのは、私の弟だった。弟は今も上場企業の営業マンとして活躍しており、文字通りビジネスマンとしての空気を世間の狭い田舎教師にもたらしてくれる貴重な存在である。

その彼がある日、単行本のようなやたらに大きな分厚い手帳を見せてくれた。システム手帳というのだ、と言う。

中を見て激しい衝撃を受けた。

自由に加除・入れ替え・再構成ができる手帳。それこそ自分が求めていたものだった。まず部分を作った後で全体構成をやりなおせる手帳。いわばカードを手帳化したもの。

さっそく買う気になり揚々と文具店に向かった。が、それは予想よりもかなり高価で、悄々と退散。結局、入門用なのだからと後日、廉価版のシステム手帳(バイブルサイズ)を探して購入した。

廉価版とはいえ基本的な機能は備えている。本格的に使い始めて、情報を一元管理する快適さ、そして特にToDoリストの威力に驚くことになった。(続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?