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どうして自分はIPSをいいなと思うようになったのか

私たちのnoteで時々出てきているIPSという就労支援のモデルですが、今回は、少し、IPSをどうして自分が「いいな」と思うようになったのかについて書いてみたいと思います。IPSって何だろうと思った方は、下記のHPを読んでいただけるとクリアになるかなと思います。

IPSに出会う前

さかのぼること数十年前、精神科の医療関係で仕事をしていた自分は、すっかり、その当時の以下の考え方を信じていました。
「精神科の病気がある人は働かなくてもよい。だから年金があるんだ」
「健常者の60%程度の稼働がちょうどよいらしい」

ド新人の頃から、このような話を周囲の諸先輩や上司が話しており、自分も最初の職場を離れるまでは、これらの思い込みから離れることはできませんでした。今思えば、当時はまだ、精神科の特に、統合失調症に対しての治療薬は選択肢も少なくて、副作用も大きかったことも理由の一つだったのかもしれません。

その職場を離れた後から、社会は変わっていき、「障害がある人も働く(就労する)」という声が、聞こえてくるようになりました。2000年代の前半は、法律や制度も大きく変わり、私たちのnoteで紹介している松為信雄先生が「職業リハビリテーション学」の第2版を編集、出版されたのも2006年でした。

そして、IPSに出会う

いろいろなことに首を突っ込む方ではあるのですが、その中でIPSに出会い、今は絶版となった「ワーキング・ライフ」に出会いました。最初の章を読んだ時に、すごく感動したことを今でも覚えています。自分が、病や障害で今の仕事ができなくなっても、また、この仕事につけるようにしてくれるのはIPSだと思いました。それが、2005年ごろでした。その時は、法人でこのIPSを実践するようになるとは、全く予想していませんでした。

そして、新しい事業を引き受けるために企画書を書く必要があり、その際に、IPSを盛り込んでいくことになりました。この時点で、知人からは福祉がやる医療がないIPSはIPSではないと言われたこともあり、「IPSに準拠した」という言い方をするようになったのはこのころからだったと思います。

IPSをはじめると・・・

IPSをはじめると「失敗しないように。しっかり準備をして」とか、「障害があるのだから無理をしなくてもよい」という考えを持つ、従来からの経験を大切にした支援をする人達とうまくいかなくなりました。
「やり方が乱暴だ」
「あたってくだけろ」(これは、とある書籍の紹介で記載されていました)

IPSは準備をしなくてよいと考えていると誤解をされる方もおられますが、準備のための準備を続けて、結果、就労をしない期間を延ばしてしまうようなことを否定しているんですよね。何よりも、失敗もせずに、年齢を重ねて、キャリアを積み上げられた人はどれくらいいるのだろうなと思ったりします。

それでも自分がIPSを推す理由

自分も自分の仕事人生で何回かあきらめそうになりながら、結果、今の仕事についています。IPSに出会う前の自分では考えもしなかった仕事です。あの時の自分にはこの姿は見えていなかったとよく思います。

そして、若い人たちに関わる機会が増える中で、決まりきった保護的な環境下では約束もろくに守れず、本当に仕事ができるのだろうかと思っていた人たちが何人もいました。それでも、彼らが興味や関心のあることに出会ったときに、ぐっと変わることを何度となく目にしました。

嫌いなことは続かないから、才能があってもやめてしまうだろう。好きなことであれば、苦手でも続けることができるから人並みには、やれるのではないかと個人的には思っています。障害があるとかないとかではなく、人間とはそういうものではないかなと思っています。

IPSの説明動画の紹介

私たちの法人では細々、就労支援に関する動画をYouTubeにあげています。最近、滞りがちでしたが、また、この委員会をはじめ、力を入れていきたいと話をしています。その中にIPSに関する説明動画がありますので、もし、このnoteを読んで、IPSをもっと知りたくなった方は、ご視聴ください。

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