読書日記④ FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
写真はフィリピンのセブ島の写真。数年前に語学留学で滞在していた。今回の本を読んだとき、この国で出会った人たちを思い出した。
既にかなり有名な本になったのでほとんどの方は知っているかもしれない。表題にある通り10の思い込み(本能)を乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣というのは人間の習慣に基づいている。
私も去年読んだが、忘れっぽい自分自身のために復習する意味も込めて今一度あらすじをご紹介させて頂きたい
知識のアップデートを怠らず、いつでも最新の情報にアクセスできる環境にある人であっても、ありのままの世界の姿を見ることは難しいのだという。
本書によると、進化の過程において人間の脳に組み込まれてきた「瞬時に何かを判断する本能」や「ドラマチックな物語を求める本能」が原因だとしている。世界を正しく認識するには、そういった本能の存在を認め、抑制する術を学ぶ必要があるというのが、ファクトフルネスの肝となる。
本書では、誰もが持っている10の「ドラマチックな本能」について、筆者の経験や人々の「勘違い」事例を用いて、それぞれの概要や抑える術を解説している。
全部紹介しなければならないくらい大事な事をハンス氏は述べられているが、特に大事な点を3つに絞る。興味のある方は是非本書を買って読んでみてもらいたい。
①分断本能 世界は分断されているという思い込み
まず第一章から。世界には「豊かな国」と「貧しい国」という2つのグループがあり、その間には、決して埋まらない溝があると考えがち。だが、データを見れば、実際には分断はなく、大半が2つの中間部分にいると分かる。メディアが2項対立を強調することで、「分断本能」が世の中にまん延し、データのゆがんだ解釈につながっている。人はドラマチックな物語を求めがちで、敵か味方か、善か悪で分けたがる。昨今のテレビで放送される「上級国民、下級国民」という分け方や、トランプ大統領のTwitterを見ればよく分かる。
②過大視本能
この章はハンス氏のモザンビークでの医師の経験から乳幼児の死亡について触れている。医療未整備地区での生々しい実体験として毎日3人の重症者が運びこまれ1カ月で5人は亡くなってしまう。とは言えこれはハンス氏の勤めていた病院での話で、どうすれば全体が改善するのかを数値(コストパフォーマンス)や優先順位で判断しなければ全体が良くならない。そしてメディアは目先の悲劇や事件・事故クローズアップし、ネガティブ本能と組み合わせて我々に世界はどんどん悪くなっていくように報道する(その方が数字がとれるから)正しく物事を見るテクニックとして「比較」と「割り算」の使用を勧める
③犯人捜し本能
ヒトは何か悪い時があったとき単純明快な理由を見つけたくなる。物事がうまくいかないとき、誰かを責めたいと思う本能が、世界を事実に基づいて見る目を濁らせる。これは上手くいっている時も同様で特定の人間や出来事に異常にフォーカスしてしまう。実際ははるかに複雑な事象の積み重ねなのに。
例として2015年に起きた救命ボートでヨーロッパに向かう4000人の難民が海難事故で亡くなる事件を扱われていた。4000人も人が亡くなる多大な事件だ。誰が犯人かということで欲深い密輸業者が挙げられる。ただ難民は先に業者に一人当たり1000ユーロ払っており、他の交通手段も容易に使えたし、ジュネーブ条約に基づいて保護を受ける権利もあった。なぜ出来なかったのか。ここにはジュネーブ条約と別にEU首脳国が発令した不法移民排除令があり、現実的に航空会社やフェリー会社などの現場には難民は不法移民と認識区別が出来なかった
振り返ってこの事件の犯人は誰なのか。
犯人捜し本能は物事を複雑に考えたくない(面倒くさい)ので誰かに擦り付けて一件落着しよう!という本能からきている(成功事例のヒーローも!)
まとめ
あえて3つに絞ったが他の章もどれも紹介したい。全てに共通するのは思い込みを捨てろ!周りの人間やメディアの意見に流されるな!自分で考えるのを面倒くさがるな!数字や数字を基にした事実(ファクト)をちゃんと見ろ!ということ。フィリピンは正に格差社会に突入する真っただ中といった感じだった。
読んでいない人は是非読んでみてほしい。
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