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落語ラン vol.27 「王子の狐ラン」

落語に出てくる飲食店がまだ残っている場合があります。例えば長命寺桜餅(おせつ徳三郎)、明神下神田川(素人鰻)などでしょうか。もちろん、百川(百川)、おかめ団子(黄金餅)など、今はもう無くなってしまったお店も多いのですが、落語に出てくるお店がまだあるとなると、是非行ってみたいと思うのが人情でしょう。そして真っ先に思い浮かぶのが王子の「扇屋」で、お調子者の男が、狐が化けたオツなお姉さんと立ち寄るのがこのお店です。
そして、王子と言えば次の大河ドラマの主人公である渋沢栄一公が抄紙会社を設立、飛鳥山下に製紙工場を建設した地でもあります。王子の狐は王子の地だけの噺ですので、せっかくですから渋沢栄一が設立した第一銀行の流れを汲む内幸町のみずほ銀行から走ってみました(もともとの第一銀行は兜町辺りにあったようですが。)。

あらすじ

王子の原で狐が若い娘に化けるのを見つけた男。誰を化かすのだろうと見まわすと、自分一人しかいない。それだったら、こちらから声を掛けてやろうってんで「お玉ちゃん」と声を掛けて近所の料理屋【扇屋】に入る。二階の部屋に入り、刺身と酒で差しつ差されつやっていると、お玉ちゃんは酔いつぶれて寝てしまう。見計らった男は名物の玉子焼きをもらってドロン。ようやく目を覚ましたお玉ちゃん。しかし、お連れ様はお帰りで、お勘定はあなた様からと女中から聞かせて思わず尻尾が出てしまう。店の者一同が慌てふためき、キツネを追い詰めるが、這う這うの体で狐は逃げ延びた。帰宅した扇屋の主人は「お店が繁盛しているのは【お稲荷様】のおかげなのに、何て事をしたんだ。」とたしなめるが、後の祭り。一方、男も友人にたしなめられ、お詫びに狐のもとへお詫びに訪れるが…。

ランニングコース

内幸町(みずほ銀行)→王子

扇屋

扇屋は今も「扇屋ビル(5階建て)」が現存し、居酒屋や歯医者さんなどが入っています。昔は料亭としての扇屋も営業していたようなのですが、今は屋台風の店舗で玉子焼きを売っているだけですね。私が訪れたのは朝だったので、残念ながらまだ開店前でした。今度は是非食べてみたいものです。

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今やビルとなった「扇屋」

王子稲荷

狐はもともと「ケツネ(穴ネ)」で、穴から出てくるからあの世に近い存在として、神の使いとされたのでしょう。余談ですが、各地のお祭に童子舞や稚児舞がありますが、あれもより「あの世」に近い存在として子供を見ていたということでしょうね。「稲荷」は「稲成り」であって、商売繁盛と現世ご利益を願う神様です。王子稲荷は、さすがに立派な社殿で圧倒されました。お神輿も立派。
王子と言えば、渋沢栄一公が製紙会社を作った地でもあります。我が国への資本主義社会の到来を予見して、銀行券に必要な紙をドンドン印刷する場所を現世ご利益を体現する場である王子稲荷神社の足元に作ったのは、非常に面白いことですね。この地を流れる石神井川の水を鹿島万平は紡績の動力として利用し、その排水を渋沢公は製紙工場に利用していきました。渋沢公は徳川幕府のパリ万博使節団随員として渡仏した際に、ナポレオン三世の下花開いた資本主義に触れ、「資本主義は紙幣だ」ってんで、兌換紙幣の急速な普及を進めるという認識に達したようです。近隣の飛鳥山には渋沢栄一記念館もあるのですが、今回は時間不足で行けませんでした。また訪れたいと思います。

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マップ


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