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落語ラン vol.1 「らくだラン」

レースが減り、仕事の忙しさも相まってランの距離が激減。ようやく落ち着いて来たので、街ランでも再開しようと思うのですが、レースは相変わらず少なくモチベーションが上がりません。
仕方がないので、日々の街ランに付加価値を付けることにして、普段から聞いている落語の舞台を巡るランを考えて実践することにしました。
落語の中には「道中づけ」といって移動中の地名を順番にテンポ良く言い立てる手法の噺がいくつかあります。例えば、以前三木助師匠やお仲間と道中を歩いた「黄金餅(下谷山崎町~麻布絶口釜無村)」や「御神酒徳利(大阪~江戸へ下る道中)」などがあり、落語「居酒屋」からそのタイトルを取った「の・ようなもの(森田芳光監督)」でも主人公が深夜の下町を道中付けしながら歩くシーンは見どころの一つです。が、道中づけのある噺はそんなに数が多くありません。なので、噺の途中で場所の移動を伴う描写があるものをピックアップして、その道程を追ってみようという趣向。数えた訳でもありませんが、五十席くらいはあるのではないでしょうか?
とは言え、既に「街歩き」でこれを実践されている先達はたくさんいらっしゃいますし、参考になる素晴らしいサイトもたくさんあります。なので、モノマネにならないように、私は走ってみようかと。距離としては、2~3キロのものもあれば、最長50キロに及ぶものもあるかも知れません。まずは、やってみることに。
第一回目は「らくだ」とします。落語の演目の名称は割といい加減なものですが、らくだもその一つ。らくだというのは人のあだ名ですが、何しろ演目に掲げられている(本来では主人公であるはずの)らくだが登場ののっけから既に死んでいる、という…。歌舞伎版「らくだ」もあります。

あらすじ

大酒飲みで暴れん坊の「らくだ(馬さんのあだ名)」は近所から蛇蝎のごとく嫌われていたが、ある日兄貴分(歌舞伎では半次)が長屋を訪れるとフグに当たり死んだ状態で発見される。同じく狼藉者の兄貴分は弔いくらい出してやりたいがお金もない。一計を案じて、長屋の連中を「死人にかんかんのうを躍らせる」という脅し文句で脅迫、菜漬の樽にらくだの死骸を押し込み、屑屋を巻き込んで落合の斎場(火屋)に向かう。ところが、途中で酒を飲み過ぎた屑屋が豹変、しかも途中でらくだの死骸を誤って落としたらしく、あろうことか間違って路傍で寝ていた願人坊主を斎場に連れて来てしまう…。

ランニングコース

早稲田(面影橋)→落合→新井薬師

早稲田

八代目三笑亭可楽師匠版のらくだには「姿見橋」の名前が出て来ます。ひとまずここがランのスタート地点。昔、夫の友人に横恋慕され、夫を殺された美女が仇討の果てに神田川に身を映した後に身投げしたので「姿見橋」。別名面影橋。江戸時代は早稲田一帯は一面の牧草地帯で、菜漬の樽を抱えての移動はさぞ寂しいことでしょう。ちなみに近隣に都内有数の旧坂ポイント「のぞき坂」があります。「らくだ」では神田川沿いをトボトボと歩いたのでしょうが、途中から早稲田通りに出てランを続けます。小滝橋交差点を右折して落合へ。

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姿見橋の案内板

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落合

落合の斎場(火屋)というのは昔から有名だったのでしょうね。小金餅に出てくる斎場は桐ケ谷斎場で、こちらも古くからの斎場だったのでしょう。落合というのはあまり馴染みのない場所ですが、少し歩けば東中野ですし、便利が良さそうですね。一応「らくだ」の目的地はここまでですが、せっかくですから引き続き早稲田通りで新井薬師に向かいます。

屑屋のセリフ「どんどん行け!ここは【早稲田】だ。これを右に切れりゃ【新井の薬師】よ、まっすぐ行きゃあ【落合】だ。」

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新井薬師

新井薬師そのものは「らくだ」では地名が出てくるだけですが、せっかくですから訪問しました。実は初訪問です。新井薬師の山号寺号は新井山梅照院薬師寺。大和の国長谷寺を総本山とする真言宗豊山派で本尊は薬師瑠璃光如来の黄金仏だそうです。さすがに、立派ですね。もう少し南に行ったところにある堀ノ内のお祖師様も落語「堀ノ内」で出て来ますので、これはいずれ訪問することになるでしょう。
中野は綱吉公の頃は「御囲い地」もあり、新井薬師~中野~お祖師様一帯は独特の雰囲気の地域だったのかも知れません。雑司ヶ谷界隈が鬼子母神から雑司ヶ谷霊園、庚申塚とユリカゴから墓場までが混在していたのと似ているかも。江戸庶民の日帰りイベントの限界距離はこの辺りだったのかも知れませんね。

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マップ

https://www.mapion.co.jp/m2/route/35.713194249582095,139.71423985447043,16/aid=d1b5cd/

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