楽園映画３　ラフィキ（ナイロビ・ケニア）

彼女たちが夢見た楽園に、あなたは立っています

今回もAmazonプライムで無料で見られる映画の中からとっておきの映画を紹介します。「ラフィキ」はケニア映画。ケニア映画だからと言って舐めないでいただきたい。予告編を見てその映像美に酔いしれるべし。

世界の映画界でさいきん特に勢いがあると感じるのがアフリカ映画。インドもすごく勢いがありますが、映画を見ていると世界の情勢がよく分かります。現在のアフリカの映画産業の中心はナイジェリアで、ノリウッド (Nollywood)と呼ばれていて、特徴はデジカメで短期間で撮影され、映画館ではなく最初からNetfilix等の配信サービスに配信されるという点にあります。ナイジェリアがこの地域の文化的な旗手になろうとしていることから、映画配給の未来まで、映画から読み取くことができます。

さて、今回は同じアフリカでも、東部のケニアから。この映画、ケニア本国では上映禁止。それは主演の彼女らの恋愛が本国で禁止されているからであり、劇中の彼女たちもまさにその困難の中にあります。LGBT映画は世界にたくさんありますが、これほどまでにストレートに社会との軋轢を描いたのは、舞台がケニアであったからではないでしょうか。私には女性が女性に恋をするというのがいまいち想像が難しいのですが、この映画はその辺りの心情の変化が、直接的なセリフなしにシームレスに理解できるようになっています。それだけ、彼女らの存在は魅力的でした。

彼女らが夢見たのは、地元の目が届かないどこかの遠い世界であり、それはひょっとすると私たちが今いる場所であるかもしれません。映画を見て感化されるとともに、あなたが退屈だと嘆く日常を、誰かが楽園だと夢見ている人がいることをお忘れなく。

まあ難しいこと考えなくても、イケてる音楽を中心としたMV（ミュージックビデオ）だと思って観ても十分に楽しめる内容になっていると思います。

ラフィキ（Amazonプライム）