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第2回:デマレージ回収!2つの落とし穴と、2つの関係軸(船社・FWD用)

こんにちは!ラクです。

今日も、前回に引き続きデマレージ(保管超過料金)の問題についてです。
(前回のブログは、以下から!)

私たち海運・国際物流業界の人間にとって、輸入コンテナの保管超過費用(デマレージ)の回収は頭の痛い問題ですよね…

今回は、「2つの落とし穴」と、考えるべき「2つの関係軸」についてお話ししたいと思います🍀


「担当部署」という考え方の落とし穴

船社やフォワーダーであれば、担当する部署によって考え方が変わってきます。

前回のブログでも少しお話ししましたが、以下のような観点が考えられます🔦

●営業的対応(顧客との関係と将来の商売)
実務的対応(主にマニュアルに則った対応と社内記録)
法的対応(法務課やクレーム課による対応)

しかし…
ここがそもそもの入り口の間違いだったりします😨

このようにスパっと部署間で分けてしまうと、
じゃあこれは営業マターだね」といって、
他の部署が放置しがちになったりします。

でも、「債権回収」においては、部門横断的な連携が欠かせません。

「マニュアル」の落とし穴

「これは営業マターだよね」「いや法務でしょ?」といった不要な議論は、各社のマニュアルや部署の責任範囲設定により起こることがあります。

しかし…

ハッキリ言いますが、仮にマニュアルに「ここからはカスタマーサポートの担当」のように区分けがされていても、他部署との連携は必須です。

マニュアルとは多くの場合、汎用性を持たせるようにできています。
いかに「可能性の高い」事象を網羅するかということが大切です。

ところが、こういったデマレージについての問題など、マイナーで、かつ「ケースバイケース」だと思われている事象について、あまり踏み込んだマニュアルを作ることはできません😅

なぜなら、作ったとしても読んでくれる人数が限られているからです。📖

よって、複雑な事案に対しても浅いアプローチしか取れないことになり、問題を掘り下げていくにあたって、「自分の部署の負担を小さくしたい」という社内力学的なものも働くことがあります。

そうすると、不要に問題が大きくなっていってしまうんですよね…

部門横断的に対処する2つの軸

まずは以下2つを考えてみることです。

①「支払う気は、あるの?」
②「支払うだけのお金、あるの?」

この2つを考えるにあたっては、以下のような分類をすることをオススメします✨

この分類も前回のブログでお話しした以下の本を参考にしたものです📚
(しかし、全く同じと言うわけでは無く、少しお知恵をお借りしています)

つまり、「部署の責任範囲」や、「マニュアルの内容」とは全く異なった問題の切り口を提案します✨

それぞれの「ゾーン」についての具体的な説明については、次回以降のブログでご紹介しますね😊

イメージとしては…ざっくりとではありますが、以下のような棲み分けも考えられます。

このようにマトリックス的に分けることにより、「部署横断的な対応」を、関係者で一緒に考えることが可能になります🍀

①支払う気があるかどうか

デマレージの場合は普通の債権回収と違い、「コンテナを引き取る気があるのか」というところがポイントになってきます🪄

社内で「このお客さん、いつ引き取るの」みたいな話になっているからこそ、今このブログをご覧いただいているかと思います📖

そこそこ既にピンチな状況であると覚悟したほうがいいでしょう💦

コンテナ船であれば、多くの場合はWeekly Serviceです。

定期的に輸入をしてきているのであれば、翌週までに引き取るはずなんですよね😅

よって7日経って引き取らないケースとは、たとえば以下のような状況が考えられます。

・単純に自社倉庫がいっぱいで、CYに置いておくしかない
・ConsigneeとShipperの間でのトラブル
・引き取っても、その先の実際の売り先について困っている
・明らかに航海中にダメージがあることを知っており、廃棄先を見つけるのに時間がかかっている(特にリーファーの場合)

「引き取らない理由」について既に分かっている場合はともかく…
なぜか分からないが、なかなかCYから引き取らない」場合は要注意です。

まずは電話やメール、訪問などを通じて、感触を掴んでみることです🎈

メールをする場合は、ぜひ以下もご利用ください🍀

電話もメールも、訪問もできれば行うことが望ましいです。
今後のことも踏まえ、とにかく「アプローチした」という記録は大事です。

②支払うだけのお金があるか

大手の名の知れた顧客であれば、そこまでの心配は無いでしょう。

しかし、外国における輸入コンテナのDemurrageや、日本でも全く名前も知らない顧客の場合、気を付けましょう🙆‍♂️

まずはカンタンにできることとして、ホームページやネット上での情報を検索します。(ここで既にブラックな情報が出てるとヤバイですが)

次に、法務や会計側と連携してみましょう。

懇意にしている法律事務所や会計事務所があるのなら、顧問料の範囲内でサポートをお願いしてみるのも手です🌈

また、少しお金はかかりますが、「東京商工リサーチ」という専門機関を利用すれば、法人の財務状況についての情報をかなり詳しく見ることができます👓

東京商工リサーチのレポートについて

具体的にどういったものか、少しお話ししたいと思います。

これは「TSR report」と言われるものです。

たとえば以下のように、経営者能力・成長性・安定性・公開性など、その会社の健全性についてレポート形式でまとめてくれています。

営業の現況や、事業におけるリスクについても、事細かに書かれています。

また、もし裁判で争っているような事案もあれば、それも確認できます。

推定の貸借対照表もあります。

これ以上は割愛しますが、これだけ詳細が載っているレポートであれば、もし何か「隠している財産や取引」などがあれば、分かるかも知れません。

もちろん、自ら社長のところに出向いて恐喝などしてはいけません。
その辺りはプロとの連携が必須なので、勇み足は避けましょう。

しかし少なくとも、「債権回収できそうな相手なのかどうか」を探る情報のひとつにはなると思います。

「そろそろヤバイ」のタイミングとは?

デマレージ金額については、一般人の感覚からすると高いのですが、いっぱしの企業にとってみたら、そこまででも無いです。

コンテナ船社世界ナンバーワンのMSC…の、デマレージ金額が知りたかったのですが、Sign Upしないと見れないようです😨

仕方ないので、現在2位となってしまったマースクの料金表(2024年6月現在)の40'highcube1本あたりの金額の推移を見てみましょう💰

100万円を超えるまでの推移を見てみると、以下のようになります。

ドライコンテナ(40'highcube)の場合、57日
リーファーコンテナ(40'highcube)の場合、31日

100万という数字にこだわるわけではありませんが、「3ケタに突入した」というのは、荷主側も船社・FWD側も感覚的に異なってくるはずです。

プロスペクト理論(敢えてここでは詳細は触れませんが)からも、損失が大きくなりすぎると、感情的にマヒしてきます。

よって、そろそろ「ヤバイ」と思われるタイミングは、おおよそ以下のように理解しておけばいいのでは無いでしょうか?

  • ドライコンテナであれば、到着から大体1か月半~2か月の間

  • リーファーコンテナであれば、到着から大体3週間~4週間の間

あくまで目安ですが、電話やメールなどの対応をこの期間までは行い、この期間が訪れる前には、「次のアクション」について考え始めましょう。

では次のブログでは、以下のそれぞれのゾーンについての説明をしていきたいと思います!

次の回は、以下から!


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