大都市圏以外での起業についての一考察

直近でちょっとした考察を行ったことを共有します。
自分のFBスレで書いてましたが主に大都市圏以外での起業についての考察になります。

まず起業のしやすさなどを考えると、東京以上に便利な場所はないと思います。
一方でそういう環境なので競争も激しく、また似たような事業が多いのも事実です。

私は中国経済産業局や九州経済産業局の産学連携推進委員などをしたり、全国各地のベンチャーコミュニティをつなげることをやったりとかした経験があり、その時からずっと思っていることがあります。
それは東京と同じことで起業しちゃダメってことです。

典型的なのがIT周り、ネット関連、アプリサービス関連などです。
なぜダメかというと、これからのビジネスについては基本的に東京にリソースが集中しているからです。

例えば、BtoBの事業であれば顧客企業は相手が大きくなればなるほど東京の主要拠点がありますし、BtoCも結局ユーザーは東京にいるのでリアルなユーザーの動向やトレンドを知ろうとすると東京に拠点があった方が良いって話になります。
では地方で起業する際にどういうことを考えればよいのでしょうか?

地方での起業において考えるべきことは以下の点だと考えています。
1. 事業をスケールさせたいのか?
2. 自分のできることは何か?
3. この地域の特色、特性は何か?
4. 「ここ」でしかできないことはないか?
1.はそもそも論なのですが、これ次第では別に東京と同じことをやっても問題ないと思います。

スケールしようと思った時に、東京で行われていることと同じことをやると、東京に行かないとダメじゃん問題が発生します。
もちろんそこで東京に行くという選択肢もありますが、東京に住むということは地方での生活にはないストレスがありますので、そこまでしてでもスケールさせるべき事業かというのがポイントとなります。

そこは家族も含めた生活の問題があると思うので、よくよくお考えいただけたらと思います。
また2.に関してですが、そもそも自分のスキル、特性、志向などに合わないことはやるべきではなく、それがどんなにすごいアイデアだったとしても、途中で嫌になっちゃうので止めた方が良いと思います。

1と2に関しては、地方という問題以前の問題なので、起業を考えるのであれば、まずここをクリアにすると良いと思います。
そしていよいよ本題に入りますが、3.について考えていくことが地方での起業において重要だと思っています。

歴史的に見たときに、その地域に栄えた産業というものがあります。
それは栄えた理由(資源があった、場所が良かった、人が集積されていたなどなど)があるはずで、それを良く良く考えないといけないと思います。

これは僕が敬愛している堀場製作所の創業者の故堀場雅夫会長から言われた「地域の伝統工芸や地場産業を見直して現代風にアレンジし直すことで産業が生まれるんだよ」という言葉に基づいています。
これの典型事例は京都の企業で、堀場製作所、ローム、京セラ、日本電産、任天堂、村田製作所、島津製作所などなど、錚々たる企業があるわけですが、実はこれらの会社は京都だから起業できたというお話をお聞きしたのです。

これらの企業には伝統工芸が活かされているのです。
つまりこれらの企業は京都で起業する意味があったということになります。
皆さんの現在住んでいる場所をもう一度見直してみてはいかがでしょうか?
その上で、4.のテーマである「ここでしかできないものを見つける」と素晴らしいと思います。

一つの事例を共有しますが、先日岡山県北東部の中山間地域にある西粟倉村にお邪魔してきました。
http://www.vill.nishiawakura.okayama.jp/
そこはすごい山の中で交通の便は非常に悪いのですが、地域の活性化として様々な活動をしていて非常に感銘を受けました。

一般的な町興しは、基本的に箱もの行政になりがちで、箱もの自体がメインになっているケースがほとんどかと思います。
しかしここではまず人財育成から始まり、この地域ではこういう資源があるよというアピールだけをして、この資源を使って何かやりたいんならばお出でよ~というやり方をしています。

通常は色々と優遇策を打ち出して、それで引き付けようとするのですが、そのやり方だと助成金などが打ち切られると途端に立ち行かなくなります。
西粟倉村は、持続的に事業が立ち行くことを前提として考えており、そのためにもちろん助成金は使うけど、それがなくなってもきちんと事業が回るということを念頭に置いています。

例えば、廃校となった小学校の体育館を使ってウナギの養殖をしている人がいたり、森林資源を使ったビジネスやってる人がいたり、非常に多様なビジネスが立ち上がってきています。
これはここで起業した人たちが、西粟倉村の資源を利用してできることを自ら考えた結果、色々と立ち上がってきたということです。

この事例は先ほどの4についての一つの解かなと思っています。
つらつらと書きましたが、何かの参考になればと思います。

よろしくお願いします!

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