見出し画像

「オセロ」の次(ポスト・オセロ) ツクダオリジナルの野望の末(1)

「オセロブーム以後」に誕生した人には本当に理解できないことだと思いますが、日本国内における「オセロブーム」は本当にすごかったんです。
ブーム時には、まさに一家に1台、オセロ盤があるような「雰囲気」を感じていました。

もちろん、日本国内がそういう雰囲気に包まれていた、というだけの話です。
オセロの売上台数の記録と、当時の日本人口(総務省・国勢調査値)との2つの数字をもとにして「乱暴に計算」すると、1976年における世帯普及率は、推計約7.3%になります。ざっと10人に1人は、ご家庭にオセロがあったということですね。

でも、今の計算は、ツクダオリジナル社の「オセロ」売上台数だけでの話です。
ハナヤマ社の「リバーシ」が単純に同じ台数売れていたと仮定し、それを足し合わせると、世帯普及率は約15%になります。
そんな情景を想像してみると、やっぱ、「当時は、ホントにどの家にもあったんだよ」という印象を持ったとしても、不思議ではないのです。

*注意:このくらいの世帯普及率数字になってくると、「老齢世帯には0%」だが、「小学生のいる世帯は100%普及」みたいな、所有率の年齢偏りが、そろそろ顕在化しはじめる数字です。

と、いうわけで、1973年のオセロブーム、続いて1978年のスライム、さらには1980年のルービックキューブブームによって、莫大な利益がころがりこみ、流動資産が膨れ上がったツクダオリジナル社としては、この勢いに乗って「ボードゲーム界のドン(首領)」まで昇り詰めるぜ!という野望を持ってしまったわけです。
*これは私の想像です。事実かどうか分かりません。

そうした野望プロジェクトの「主力商品」を作るべく、再びオセロ作者の「長谷川氏」と「ツクダオリジナル社」の両者が、ガッチリとタッグを組んで完成させたのが「ソクラテス」という商品です。記録では1993年だったそうです。

*同社製品の「セルゴ」の話はどうなったんだ?という声が聞こえてきそうですが、その話は機会があれば別のタイミングでいたします。
今回はご勘弁ください。

皆さんはこの野望の結末はもう知っています。
「ソクラテス」っていう国産ゲームのことを知っていますか?知らないですよね?
つまり、そういう事なんです。

親会社の経営不振&自社製品にもヒット商品全くなしというジリ貧が続いたせいで倒産。
オセロ等の著名なボドゲの版権は他社に移譲しました。
ちなみに「ソクラテス」は、激オモシロではないけど、結構おもろい「佳作」と、ラジくまるは評価しています。
だから、全然売れなかったっていう事実は、ラジくまるとしては可哀そうに思います。
バカ売れさせるのは無理だろうけど、もうちょっとくらい台数が売れても良いはずのモノだったのになあ。と、今でも思うのです。

そんなわけで、「忘れられた遺産」ソクラテスの遊び方を記録しておきます。くどいですが、ラジくまる評価としては「佳作」。
絶対にバカ売れはしないと断言できる印象の商品でした。

******************

ソクラテス 第4のゲーム
ツースリー 2players
勝利条件:
相手のコマが最初にあった位置に、いち早く自分の6個のコマを進めたら勝ち。
準備:
初期配置は図の通り。

左:初期配置
中央:相手のコマはジャンプ可能
右:前に行けない時だけは、後ろに下がる。

遊び方:
このゲームではコマは前方向と後ろ方向との2つの方向しか動かない。
コマは基本的に前に進まねばならない。特にすぐ前のマスが空いている場合。
なお、相手の色のコマは複数をまとめて飛び越すことができる。
自分の色のコマは飛び越すことはできない。
特殊な状況:
自分のコマが全く前に進む余地がない時、任意の1つのコマを後ろに下がらせねばならない。この時、1歩下がるもよいし、あるいは相手の色のコマを飛び越えるならば、一気にジャンプして下がっても良い。

***

ラジくまる評価:
「申し訳ないが、ノーコメントと評価したい。」です。
同じルールのパズル(カエル飛びパズル)って古くから日本にあった事を確認済みです。
もっとはっきり言いますと、世界的なパズル界の巨星でいらっしゃる「芦ヶ原伸之先生(故人)」が、ご自身の著作物の中で、この形の1人用パズルを紹介もしています。
ゲームとして良くできている作品だし、実際にやってて楽しい!と感じるし。
だけど、2番煎じです。これ。
そういう事情があるので、作品評価はすごく下にしたいという気持ちが働きます。

いや、ホントにゲーム的には面白いですよ。
ただ、誕生した瞬間から上述の「問題」を抱えているため、複雑な気持がして、胸のあたりがモヤモヤするんです。
おもしろいゲームだよ、と、ほめてあげたいんだけど、褒めきれないというのが正直な気持ちです。

なぜか第4のゲームから紹介が始まりましたが、
次のゲームは、また明日ということで。

ゲームシステムのデザイナーって、何なの?どういう意味? そんな疑問は、私の記事群によってご理解いただけるものと期待してます。 ラジくまるのアタマの中にある知識を活用していただけるお方、サポート通知などお待ちしています。