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解体と郷愁と秋風と。

実家の解体がはじまっていた。すべてが終わるまでは三週間ほど、かかるらしい。咲藏はスマホを手に二階まで上がってきていた。自分の勉強部屋だ。確かに名残惜しい気もする。けれど、維持するにも金はかかる。それに居れば居たで飽きてくるのも事実。時の流れに身を任せるしかないときは、必ずやってくる。それだけだ。隣の部屋の窓から入ってくる秋風が涼しかった。郷愁より快適を選んでしまうのが、結局、人間かもしれない。それがありのままの姿だ。哀しかった。

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