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終わりのない一時

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夢なのに現実的な幻想
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そこに在ることの意味

今度は何を作ろうかと材料箱を覗いたら、あんなに大きかった袋たちが萎みきっていた。買い出しで新たな案に出会う事を楽しみとしよう。

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決して華やかではない木々をいくらか歩いた。

途中で小さな白い花の集落を見つけた。

君にここを見せたかったんだ。

蔦がよじ登っている壁を抜ける。

深い群青はその先を隠し

ぽこぽこと音を奏でながら上へ上へと向かっていく。

風船のように自由に浮かぶ半透明た

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意識して瞬きはしない

この昨日の焼き菓子が最高に美味しかった。次はバジルのパンにしよう。

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写真でも撮りたくなったのかい?

手の囲いで景色を切り取っていた。

確かにそう思う人は多いかもしれない。

素敵だもの。

でも、この遊園地は

思い出を持ち帰ってはならない。

写真や映像を撮ってはいけないんだ。

そもそも君は何も持たずに

ここまで来たよ。

せっかく素敵なところに居るのに、

撮影を目的にしてほ

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いつもと同じ一歩で来園

待たせてすまない、焼き菓子を焼いていた、これで明日の楽しみが増えたところだ。

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色彩は褪せているが、そこに色は存在する。

音は幸せを思い返す一時が永遠と時間を止めていて、

足は焦ること無く一時を踏みしめているような。

黒の風船を左に、

優しく白い綿菓子を右に、

ゆったりと廻る淡いメリーゴーランドを

ゆとりあるベンチから見ていたい。

そのベンチから、斜めの観覧車は見えるかい?

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思い出を持ち帰ってはいけない

ふと、夢をみた感覚に包まれる。

ホラーやグロデスクは全く関係は無い。

安心で安定な、

ほっと一息ついたその瞬間が

永遠と流れるテーマパークに。

簡単にカテゴライズしてしまえば、

アンニュイやメランコリック。

果たして万人に正しく受け止められるかは

到底計り知ることはできない。

取り敢えず、ご案内させてもらえると嬉しい。