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心の檻

ある日、
ウサギを飼育している檻から、
一匹のウサギが脱走した。

飼育係のウサギ(そう、飼育係もウサギ)は、
一生懸命に脱走したウサギを捕らえ、
何とかして檻に戻そうとした。

しかし、
脱走したウサギは断固拒否し、
「何で戻らないといけないの?」
と問いかけた。

そしたら飼育係は
「ウサギは皆檻の中に居る。
 私もかつては居たし、今も居続けている
と答えた。

「外に居るとダメなの?」
とウサギが。

「檻の中には食料がある」
と飼育係が。

「外にはもっといっぱいあるぞ」
とウサギが。

「檻の中のほうが安全」
と飼育係が。

「お前にはね!
 私は毎日危険に晒されている」
とウサギが。

「そんなことはない、あなたは安全だ。
 ほら、誰も凶器なんて持っていないし。
 他のウサギからの精神攻撃・・・?
 気のせいだ、認知行動療法をお勧めするぞ。
 もしくは誰かと相談してみてはどう?
 僕以外の飼育係でもいいよ」
と飼育係が。

(・・・ダメだこいつ)
とウサギは作戦変更。

「明日檻が壊れたら、
 あなたはその檻を元通りに戻すの?」
とウサギが。

「戻します!!」
と飼育係が。

「(マジか・・・)じゃ、檻が丸ごと消えたら?」
とウサギが。

全く同じような檻を作り直します!
 自ら第一入居者として入ります!!
 檻のために生まれ、
 檻のために生き、
 檻大好きマンです!!!」
と飼育係が。

「あなたは・・・もはや檻の意思だな。
 やはり私は入りたくない」
とウサギが。

「仕方がないね。
 まあ、気が変わったら、
 いつでもお待ちしております!」
と飼育係が。

脱走したウサギは屁をこいて逃走し続けた。

そして川沿いで釣りをしている一匹の熊に保護され、
熊の仲間と幸せに暮らしています。


お気持ちだけで十分です。 お金は自分より立場の弱い人に使ってくださいね🐻