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人との距離のはかりかた

お盆。

ぼーっとしていたら予定が2日間ぐらいしか
入っていない。

そしてその予定の入っていた1日も友人が風邪をひいてしまいなくなってしまった。

あれま。
わたしのお盆。こんなにも空いてしまった。

1人の時間は好きだけど、こんなにはいらない。

じゃあ、あと1日の予定はなんだ。

それは実家に帰り、帰省してきた姪っ子と会うことである。

(私は3姉弟で上姉・中姉・下私で構成されており、姪っ子は中姉の子供である。)

姪っ子はまだ小さい。それはもう小さい。

元気よく家を歩き回り、全ての世界をそのキラキラした目で見れば喜び泣き笑う。
そんな小さな怪獣である。

私には小さな怪獣に対しての接し方がわからない。

今年のGWで会うた時には液晶に映る
「しなぷしゅ」を見て大はしゃぎ。

その光景を見て私は小さな怪獣に対して人見知りを出しまくる。

おいおい相手はまだ生まれて1年ちょっと。
初めてお会いしたとはいえ何をそんなに身構えているんだ。
そっとおもちゃを机にどうぞと差し出す。

反応はない。
すごい純粋な目でこちらを見てくる。
そしてまた動き回る。

小さい子との接触なんて生まれてこの方
したことない。
だからよそよそしくなってしまう。

そういえば、私に限らずうちの家族がそういった子供ましてや赤ちゃんと何かしている姿をほとんど見たことない。

父親が仕事から帰ってきた。
小さな怪獣はおじいちゃんを認識し、駆け寄る。
私はそこで驚愕する。
普段寡黙な父親が聞いたことのない高い声で「よしよし」といいながら小さな怪獣をあやしているではないか。
おいおい。ちょっと待ってくれよ。
オヤジ。父さん。ファーザー。
小さな怪獣にいとも簡単に心を掴まれているではないか。
俺はそんな姿見たくないぞ。
どうしちまったんだよ。
俺はそんな姿さらせねぇよ。
できねぇよ。

私の気持ちを他所に小さな怪獣は離乳食をもりもりと純粋な目をキラキラさせながら食べていた。

そんなGWから3ヶ月が経った8月某日。

お盆というシーズン。小さな怪獣の帰還である。

私は常々友人にこの話をしているが「考えすぎだろう」と諭されてきた。

今回こそは距離を縮めるぞ!!

と意気込み家に入る。

子供の成長とはなんと早いのだろう。
GWの時はまだ、よたよたしていたのにもうたったっ、たったっと歩いているではないか。
私はその成長速度に怯んだ。

こらこら、こんなところで躓いてどうするんだ。
椅子に座り様子をじっくりと伺う。
姪っ子に上姉が積極的に絡んでいく。
そんなにみんなでいっては姪っ子も大変だろうと謎の理由を自分に言い聞かせて静観する。

来て30分程で昼寝に入ったため、しばらく家族で談笑をする。
その日は朝から元気だったようで沢山遊んだからか普段より少し長い昼寝となった。

夕方起きると、おやつを食べまた元気になる。
たったっ、たったっ、歩き回りお父さん、お母さんと遊びそこに姉が絡んでいく。

私はいろはすを飲んでは置いてを繰り返す。

上姉が小さな怪獣の手の上におもちゃを置くと小さな怪獣はお父さんの所に持っていき、お父さんの手のひらに乗せる。それをみんなが褒めると、満更でもなさそうな顔で体をくねらせていた。
それに味をしめたのかその行為を繰り返し始める。

飽きたところでお母さんがお絵かき帳とクレヨンを持ってきた。三姉弟で一緒に絵を描いて喜ばせようとするが始まった途端、絵を描くことよりもクレヨンの周りについた紙を取ることに夢中になる。

なんだこの絵面は。
側から見たら良い歳をした大人が三人でクレヨンで絵を描いているだけではないか。

中姉が「手のひら出してごらん」というので小さな怪獣の前に手のひらを出してみた。

すると小さな怪獣は手のひらにクレヨンの周りに付いていた紙とクレヨンを乗せてきた。

少しぎこちなく「ありがとう〜」というと、
次々とクレヨンを私の上に乗せてきた。
おいおい私はいつからクレヨンケースになったのだ。
最終的にはお絵かき帳まで乗せてきた。

なんだこの絵面は。
側から見たら手の上に重いものを乗せられてる危ない刑を受けてる人だぞ。

しかし、まんざらでもない。
こんな些細なことではあったが、自分と遊んでくれたと思えた。
少しでも距離が近いた気がしてどこか嬉しかった


そのあとも、近いてもお母さんのところに行ったり、恥ずかしがらなかったのでツーショットを撮ってもらったりして私はご満悦だった。

ただ、そんな時間もあっという間で私の帰る時間になってしまった。
少し距離が近いたと思っている私。
私「じゃあね〜」
小さな怪獣 (真顔)
中姉「ほら、お兄ちゃん帰るって。じゃあねって。」
小さな怪獣 (真顔)
私「ばいばい〜」
小さな怪獣 (真顔)
中姉「ばいばい〜って」
小さな怪獣 (真顔)

バタン。

扉は無常にも閉められた。

次会う時はまた手のひらに乗せてもらうか。


曲:人との距離のはかりかた
歌:plenty

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