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盛者必衰のゲーム業界でゲーミングチームがこの先生きのこるには

(総文字数:約3500文字、記事を読み終えるのに必要な時間:約5分)

アマチュアゲーミングチームのメンバー募集が一向に終わる気配がない。

Twitterを見ていると「あれ、このチーム前も募集してたな」というような、長い間ゲーミングチームのメンバー募集をしているチームを見かけることが多くなった。

純粋な目で見れば「ゲーミングチームがたくさんある!やった!」となるが、残念ながら多くのゲームは試合におけるプレイヤーの人数制限が存在しており、永遠に募集を続けるチームは「やべーやつ」である可能性は高い。

また、知名度の高いチームほど募集をすぐ締め切っているイメージが筆者にはある。

参加希望者がすぐに埋まるチームと埋まらないチーム、両者の違いはなにかを考えた時に、以下の3つの仮説を立てたので、順番に話していきたいと思う。

~目次~

仮説1:アマチュアゲーミングチーム飽和説
仮説2:アマチュアゲーミングチーム差別化問題
仮説3:プロゲーマーの現実を見せつけられました説
難しいことは言わない。楽しもう

仮説1:アマチュアゲーミングチーム飽和説

端的に言おう。アマチュアゲーミングチーム多くね?

例えばだ、リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends 通称"LoL)をベースに考えると、LoLは5人で戦うゲームなので、1チーム5人、補欠やアナリストなどを加えて1チーム5~7人程度必要になる。

仮にそれが10チームあった場合、必要になる人数は50人~70人だ。

・・・必要人数多くね?

50人~70人というと、小学校の教室2つ分(筆者体験)になるのだが、その人数が全員同じゲームでチームを組んで活動していることを考えると、少しイメージがしづらい。

幼いころは、ドッジボールでさえ10人集めるのがやっとだった記憶がある。

おそらく、募集状況としてもAチーム「5人中4人そろっていて、サポート募集」、Bチーム「5人中3人揃っていて、トップとジャングル募集」的な感じで、人数の最適化と呼ぶべきか分からないが、中途半端に人数が足りてないチームが山ほどあるのではないだろうか。

たぶん、全体の1/3を解体して合併すればアマチュアゲーミングチーム"全体"の満足度は高まりそうなものだが、なかなかそうはいかない。

これが仮説1の「ゲーミングチームの数が多すぎて、選手の最適化がなされていない」だ。

仮説2:アマチュアゲーミングチーム差別化問題

端的に言おう。どのアマチュアゲーミングチームも同じに見えないか?

チーム名が違う、募集しているロールが違う、ロゴのデザインが違う、などの違いがあれども、基本的にどのアマチュアゲーミングチームも言っていることは同じだ。

~募集条件~
レートは○○以上
IN率○○日
やる気のある人募集!
詳しくはDMください!

Twitterには文字数制限があるし、これが別に悪いとは言わない。

ただし、恋愛と同じで「彼女(彼氏)募集中です!」という看板を掲げているだけで彼女(彼氏)が見つかるのは一部の神に選ばれし者たちであるように、アマチュアゲーミングチームも「メンバー募集中です!」という看板を掲げているだけで人が集まってくる時代ではない。

なぜなら、今、アマチュアゲーミングチームは、飽和状態だから(ここで「仮説1::アマチュアゲーミングチーム飽和説」につながる)。

では、そんな中でゲーミングチームに入りたい人は、どうやってチームを選ぶのかというと「ネームバリュー」になるよね。

いわゆる「プロゲーミングチーム」と呼ばれる人たち、もしくはアマチュアチームであっても大会実績などをいくつも残しているアマチュアゲーミングチーム、こういった一部の人気のあるゲーミングチームに人が集中し、無名なチームに関しては人を集めるのに非常に厳しい状況が続いているように感じる。

それもその通りで、どのアマチュアゲーミングチームチームも言っていることが同じ過ぎて加入する側が選べないのだ。

人間は、物事を評価するときに「なんらかの比較対象」が必要になる。

AはBよりも値段が高いから良いものだ。

CはDよりも甘いから好きだ。

Aというものに対して「一切の比較対象がなく」、それ自体の価値を付けることは非常に難しい。
※イメージが湧かない人は、適当なゴミに自分で価値を決めてみてほしい。
 ただし、その際に「素材の価値」などに注目してはならない。やってみると価値を決めるのがすごく難しくなると思う。

では、どうやって自分たちのゲーミングチームに人を集めればいいのかというと、「分かりやすい判断基準」を用意してあげればいい。

「分かりやすい判断基準」を用意することで、(本当にそのゲーミングチームに価値があると判断された場合に)他のチームに比べて人が加入しやすくなる。

一例として、以下のような形で「分かりやすい判断基準」を用意してあげたらいかがだろうか。

------------------------------
レートは○○以上
週の活動日は○○日と○○日です。

毎日の活動内容としては、以下のようになっています。

21:00~集合
21:30~試合開始。試合相手は前日までに決定させておきます。
23:00~試合終了
23:00~試合の振り返り

また、自分たちのチームでは以下のような活動をしています。

①チームにアナリストがいるため、試合の調査を行って貰えます。
②録画担当の人がいるため、全試合の振り返りをいつでも行えます。
③配信者・実況・解説など、選手以外としての活動の支援も行っております。

チームの設立は○○年の○○で、過去の実績としては以下のようなものがあります。

○○大会:予選敗退
○○大会:準決勝進出
○○大会:優勝

メンバーのレート
○○:△△
○○:△△
○○:△△
○○:△△
○○:△△
------------------------------

上記の募集内容の特徴として、まず参加する日時を明確に提示してある。

これによって、アルバイトや就労している人たちに対して「自分がそのチームの活動に参加できる・できない」の判断基準ができる。

また、チームの福利厚生(動画撮影やアナリストなど)も同様に、「自分がそのチームでどれくらい成長できそうなのか」を判断する基準になる。

大会実績やメンバーのレートも同様だ。

「うちのチームはアナリストもいないし、録画担当者も居ない。選手以外としての活動支援も特にしてないです」って人たちはまぁ、なんだろう。
頑張ってねとしか言いようがない。

「人」っていうのは無限に生まれるものではなく、有限なものであるということを改めて再認識し、「自分たちのチームに入るメリットはなんだろうか?」というのを「チーム側から客観的に」考えた上でアピールできれば、今よりも人を集めることが出来ると思う。

仮説3:現実を見せつけられました説

これは特に「プロゲーミングチーム」と呼ばれるチームに関する話題なのだが、自分が大学生のころ(5年くらい前)「プロゲーマー」と呼ばれる人たちは「なんかよくわからないけどかっこいい存在」だった。

一時、キラキラ女子※と呼ばれる言葉が流行った時期がありましたが、それと同様にある種の神格化された存在がプロゲーマーでした。

※Twitterなどで「私、仕事もプライベートも充実してますの!」とアピールする人たち。
実際に「キラキラ」していればなんも問題はないが、実際はTwitter上だけの幻想であるケースがあり、揶揄の対象とされることもある。
そもそも真の「キラキラ」女子はTwitterで承認要求を必要としない。

実際、筆者が大学生のころ遊んでいたメンバーの中には、その時期からプロゲーミングチームのトライアルを積極的に受けて、今ではプロゲーミングチームに属して活躍している人が多く存在します。

しかし、ここ数年で「e-sports」が声高に叫ばれるようになり、一定の市民権を得て来ると同時に「様々な現実」が私たちの目に映るようになりました。

給料未払い問題
チーターの加入騒動
コンプライアンス違反
外国人に対する法令違反騒動
プロゲーマーのリテラシー問題

昔と比べ、より「プロゲーマー」と呼ばれる人たちが身近になるにつれ、今まで眩しくて見えていなかった影の部分も見えるようになりました。

それらのことを見ていると、今まで神格化されていたプロゲーマーも当然ながら一人の人間なんだなということに気づき、またその歴史の浅さや、全体的に(年齢が)若い人が多いことから「おいおい、マジかよ」といいたくなるような事件が何度も起きているのも現実です。

小さい子供が「将来は宇宙飛行士になる!」と叫んでいたのに、中学生くらいから現実を見始めるのに近いことがプロゲーマーに対しても感じるのは、どこか懐かしくも悲しい気持ちを感じさせます。

それでも、子どものころからゲームが大好きで、今でもLoLを始めとする様々なe-sportsの大会を見ている筆者からすると、過去の栄光をもう一度とまでは言いませんが、もう少し胸を張って世界に向かって戦いに行けるプロゲーミングチームが一つでも増えればなと思います。

難しいことは言わない。楽しもう

勝手に憧れて勝手に幻滅したくせに改めて「プロゲーマーにもっと栄光を」なんてどの口が言うんだと言う人もいるかもしれませんが、それでもこの記事を読む人はみんなゲームが好きなんだと思ってます。

今後、e-sportsはより大きな市場になることは間違いありません。

そんな中、日本だけ置いてけぼり、なんて悲しいじゃないですか。

当然、プロゲーミングチーム関係者に限らず、一般プレイヤー側にも様々な課題は存在します。

※詳しくは下記のなぞべーむさんの記事をどうぞ。

キッズが暴れまくる大会番組のチャット欄、どうやったら成熟させていけるのか

それでもせっかく、「ゲーム」という一つの趣味に集まったのだから、一緒に盛り上がって行きましょう。

楽しみましょうよ。

そのためには、ゲーミングチームの数(要はプレイヤー)というのは避けては通れない問題です。

ゲーミングチームと選手、両者が幸せになれるようなゲーミングチームが今後も増えることを祈って。

執筆:Rainbee

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