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もののけ姫図解〜エボシから見るタタラ場成長戦略〜

こんにちは、雨弓です。

7/11に東宝シネマズで「もののけ姫」を見てきました。金曜ロードショーで何度も見たことがあり、せっかくの機会だから大きな画面で見てみるか〜と気楽に劇場へ足を運んだのですが小中学生の時に見たイメージと全く違う印象を受けたのでnoteにまとめておきます。

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まずもののけ姫を見た感想ですが、「めちゃくちゃ面白い」です。自分の中に持っていたもののけ姫とのイメージの乖離がかなり大きかったです。小さい頃は「モロや乙事主(おっことぬし)がかっこいい!デイダラボッチでかい!!キレてるキレてる!」みたいに登場する人外の生物に憧れを抱いていましたし、エボシは(なんとなく)悪いやつだと思っていました。

ただ実際に大人(29歳)になってからみると、そもそもそんな単純な構造ではなく

・人間側にも自衛と勢力拡大を図るエボシ

・そのエボシを利用しようとする朝廷

・森を失い次第に衰弱していくシシ神

と大きく分類して3つの陣営に分かれていることが分かりました。ここに運命に翻弄されるアシタカが加わることでもののけ姫は構成されています。

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物語はタタリ神がアシタカの里を襲う所から始まります。タタリ神も小さな頃は「不気味でかっこいい」としか見ていませんでした。しかし実際は森を荒らす人間達に対抗を続けており、ある日遂にエボシに狙撃されて死んでも死に切れず、呪い苦しんでタタリ神に身を堕としたと判明します。

タタリ神を撃ったエボシはやみくもにナゴの守(タタリ神の生前の名前)を殺したのではなく、タタラ場の人々を養い生活していくために製鉄が欠かせず、そのための材料である砂鉄の採集と、砂鉄を加工するための火力源として森の木々が必要でした。

その後登場する犬神のモロとその娘サン、二匹の子供達はシシ神の森を守るためにタタラ場の人間達と戦っています。アシタカは西へ向かう道中、エボシに撃たれて負傷したモロ達と初めて遭遇し、サンに何かを感じてその後気にかける様になります。またタタラ場の人々の生活に実際に触れることで、タタリ神や自然破壊の問題が単純ではないことを理解します。

改めて振り返ってみるともののけ姫に登場してくるキャラクターは全員理由があって動いており、行動に違和感がありません。

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また、改めて映画を見て凄まじいなと感動したのがエボシのビジネス感覚についてです。エボシは自然を破壊する悪者、くらいにしか当時は認識していませんでしたが今見ると非常に優れた経営者であると感じました。

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神々に守られ近づくことができなかったシシ神の森を武力で開拓し、潤沢な資源を得ます。さらに社会的な立場の弱い女性達や病気の方々を助け、労働力として活用し、また朝廷の狙いを見抜いて銃を扱う部隊(石火矢衆)を借り受けつつ銃の製造技術を吸収していくというしたたかな面も見せます。

弱い者達に手を差し伸べる一方、自分の邪魔をする神々や侍などには容赦無く攻撃し、またモロの襲撃に遭った際には川に落ちた者を見捨てたり、物語終盤ではタタラ場が攻撃されているのを知った後もシシ神討伐を優先したりと現実的な優先順位を常に見極めて合理的に行動していきます。

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またエボシはタタラ場での政策・戦略も非常に優れていますが、牛飼いを助けてくれたアシタカに素直に礼を述べたり、女性や病気の方々にも丁寧に接して厚い人望を築いていたり、サンの襲撃の際には堂々と一騎討ちに応じるなど魅力的な人物として作中では描かれています。

今回の鑑賞で私が一番人間らしいと感じたのはエボシです。戦国の世にあって神を恐れずに己の力のみでのし上がっていく姿は素直にかっこいいと思いましたし、逃げずに困難に立ち向かい全責任をとって行動していく姿は理想的な上司、あるいはリーダー像として描かれているなと23年前の作品ながら惚れ惚れしました。

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ということで簡単ではありますがもののけ姫とエボシについてのまとめでした。もののけ姫の他にも風の谷のナウシカ、千と千尋の神隠し、ゲド戦記などジブリの作品はこの夏に期間限定で上映されておりますので、見にいきたくなった方はぜひコロナ感染に注意しながらお早めに劇場へ行ってみてください!改めてもののけ姫を見たくなった人がいればとても嬉しいです。

それでは。

(ちなみに今回は純粋に映画を見ての感想ですので宮崎駿監督へのインタビューや裏設定などはほぼ考慮していません。1人の視聴者して映画を見て感じたまとめになりますのであしからず)

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