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本が多すぎる

 「本が多すぎる」というタイトルの本が、酒井順子女史の著書にある。

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 これは愛書家の方にはおすすめの読書エッセイであるけれども今回はこの本の紹介ではなく、わたしの部屋の「本が多すぎる」という話だ。ちなみにこの本も写真を撮るために、書架から溢れ出て床に積まれていた中から探してきた。

 外出を自粛し始めて半年になる。多くて週に一日ぐらいしか家から出ない。書店があるような町へ出掛ける頻度はさらに低い。

 わたしは書店が好きだ。町に出かけると必ず書店へ行く。映画を見に行けば帰りに書店に寄り、役所や銀行に用があれば帰りに書店に寄る。そして、必ず何かしら買ってしまうのであった。書店以外のショッピングというのは基本的にあまり好きではなく、買いたいものをあらかじめ決めておいて、最短距離でそれだけ買って帰りたい。それなのに、書店だけは無目的にふらっと立ち寄って、うろうろ歩き回ってはぜんぜん知らなかった本を買ったりする。

 欲しい本は、実は常にリストされている。丸善ジュンク堂と文教堂がやっているhonto というサービスがあって、これのスマホアプリがある。アカウントを作ると「欲しい本」というリストを作ることができ、GPSを使用して今いる場所の近くの書店(丸善かジュンク堂か文教堂)で、そのリストに入っている本の在庫があるかどうかを確認することができる。

 これに常に100冊ぐらいの欲しい本を登録してあるのだけれど、不思議なことに、用もなく立ち寄った書店で買うのはこのリストに入っていない本が多い。そのためこのリストはいつまでも減らない。

 さらに、本は買う一方で減らない。売ったり誰かにあげたりすることはなく、まして捨てることはあり得ない。つまり大変な勢いで増える。本棚に入りきらない本が床を侵食し、書庫の部屋に入りきらなくなった本が他の部屋を侵食する。ときどき本棚の本と床のものを入れ替えたりする。格としては本棚の上の方の棚ほど好きな本、というふうにしている。新たに買ってきた本を気に入って入れ替える。好きな作家のものは最初から本棚を占有していて、そこに追加されていく。これが入りきらなくなると本棚の大幅な入れ替えが行われ、あぶれたものたちが床に溢れ出る。

 そろそろ本棚自体をもっと収容量の大きなものに買い替えねば、と思い始めて5年ぐらいたつ。本棚って、まともなものを買おうと思うとけっこうな値段するのよね。おそらくこれを読んでくださっている愛書家の方は似たような悩みをお持ちだと思いますが、本棚、高いですよねえ。

 しかし床に溢れ出て横積みになっている本がそのままでいいはずもなく、奮発して本棚を買わねばならんかなと思っている。

 小説を書くときに手元に必要な本は、移動式のワゴン(キッチンワゴンみたいなやつ)に乗せてゴロゴロ移動できるようにしてある。ここには辞書類と、進行中の作品の参考文献を置く。参考文献は新たに買ったものと書架から引っ張り出したものが共存していて、書き終えてこれを書架へ戻すときに、どこへ収納しようか迷うことになる。たいていの場合、出すときよりも戻すときの方が増えているからだ。

 ワゴンで移動できる作戦は思いついたときに自分最高だと思ったのだけれど、あっという間に床に溢れた本によって移動できなくなった。ワゴンの足の下にも本が詰まっていてもう動けないのであった。

 とにかく本棚を買うのは急務である、気がする。(たぶん多すぎる本を整理しろというのが正論だけれど、今のところ私にそういう選択肢はない)

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