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【映画】誰もが持っている嫉妬の感情こそ狂気なり【プレステージ】

「よーく見ててね、コインが消えるから。3、2、1」。

そんな手品・マジックに心を躍らせる時代が私にもありました。

小さい頃から手品やマジックは意外と近くにあって、テレビなどで季節ごとに特番が組まれているのを見たり、友人が急にハマり出してアシスタント役を担ったり、と割と慣れ親しんだものでした。マギー審司さんの「耳がでっかくなっちゃった」とかも、テレビで見ては「どうなってんだろ」と思いながら楽しんでいたものです。

そして、大人になるにつれて本格的なマジックとかに興味を持ち始め、モノを移動させるマジックやモノを浮かせるマジック、人間瞬間移動なんかに傾倒して、周りからはマジックマスターなんて言われた日々が懐かしいですね。

そんな戯言は置いといて、今回の映画「プレステージ」の話に移りましょう。今作は手品に関するお話です。同じ師の下で育った二人の青年が、大人になり、ライバルとして対立していきます。手品とは何か、ライバル関係とは何か。そして、最後に待っていたどんでん返し。

「嫌な気がしていたよ〜」と終盤に思うこと間違いなしの映画を紹介していきます。

■妬みの行き着く先

まずは簡易的なあらすじどぞ。

あらすじ
19年末のロンドン。芸名「プロフェッサー」として知られるボーデン(クリスチャン・ベイル)は、ライバルのアンジャー(ヒュー・ジャックマン)の公演を観覧しに会場へと赴いた。そこでライバルのマジックのタネを明かすために舞台裏に忍び寄ると、目の前でアンジャーがいわくつきの水槽に溺れて死んでしまう。その場に居合わせてしまったボーデンは、アンジャー殺しの容疑者として逮捕されることになってしまった。かつて同じ師のもとで育った二人の間には何があったのか。そして、そんな彼らが互いに持っていた秘密とは。過去を辿りながら話は展開され、最後は予想外の結末が待っていた。

今回はあらすじが難しかったですね。

さながらミステリー小説を見ているような感覚になれるサスペンス映画といった解釈が一番わかりやすいでしょう。最初に一つの事件が起き、彼らの過去をたどっていく。そしてもう一度、事件の時間軸に戻った時、どんでん返しの結末が待っている。伏線の回収もしっかりされていて、見終わった後には満足感が得られる作品です。

もちろん物語の締め方は映画を見た人間がどう感じるかに焦点を置かれている気がするので、みなさんが結末を見て思ったことを教えて欲しいですね。

さて、もうちょっと詳しく映画の本質に迫っていきましょう。

個人的に考える今作の一つのキーワードは「妬み」です。

嫉妬というのは難しいもので、周りの輝いている人を無意識に敵視してしまうことってありますよね。それは例えば、芸能界で楽しそうにやっているタレントさんたちもそうです。最近取り沙汰されることの多いSNS上の誹謗中傷なんてものは、だいたいが嫉妬なんです。自分にできないことをやっている人間に嫉妬の心を持ち、一つのミスを責め立ててようとする。人の感情の中に絶対あるものなので真っ向から否定する気はありませんが、限度はあるといったところでしょうか。この話も長くなるのでやめときましょう。

脱線しましたが、今作の二人もライバルに対して嫉妬心が非常に強かった。

特にアンジャーは、ボーデンの成功、そして才能に強い嫉妬心を持っていました。だからこそ、彼を上回るために奮起したわけです。それが間違った方向に行ったとしても、アンジャーの中ではボーデンに勝つことこそが生きがいになっていたんだと思います。終盤のやりとりで互いに勝った、負けたという言葉が出てきたところに、何よりもライバルに勝つことに生涯を費やしていた日々が透けて見えました。

ただ、その嫉妬が周りを傷つけ、はたまた人の人生を狂わせることになります。

手品に魅了され、ライバルに魅了された二人は、言ってしまえば最後まで互いしか見えてなかった。

だからこそ結末を見た時、どっちに肩入れをするべきか悩ましくなります。ボーデンは誰にも言えない秘密を持っていて、アンジャーはそれを理解していなかったから暴走してしまった。嫉妬の先に何が待っているか。ラストはそんなメッセージも詰まっていた気がします。

■手品の怖さを知る

もう一つ、今作を見て印象に残っているのはマジックの怖さ。

一流のマジシャンはタネを明かしません。だからミステリアスで興味が湧く。それがマジックというものでしょう。

ただ、マジックの裏で何が行われているかを知ったら、もしかしたらすごく怖いものを見てしまうかもしれないと今回の映画を見て思い知らされました。

例えば、カードを使った手品で、マジシャンがお客さんを呼んでその人にカードを選んでもらいますよね。そのお客さんがもともと雇った人間だったら、タネ以前の話なわけです。

もちろん、そんなこと言ったらつまらないだろと言われたらそれまでですが、そういった事実もあるのかもしれない。と、思ってしまいました。ネタバレをしてしまうと、それもタネ明かしになってしまうので、そこは映画を見て「なるほど」と思っていただけたら幸いです。

最後にもう一つ。物語の途中。こんな言葉がありました。

「人は言う。『現実は想像に及ばない』と。だが違う。『人間は想像を超える』んだ」

これはすごくいい言葉だなと思って、時に人間が想像を超えるようなことをするから衝撃を受けたり、感銘を受けたりするんです。でも、この後に続く言葉がさらに深い。

「しかし、世間は急な変化を好まない」

これは真理だなと。時よりこの人すごいなと思うけど、それを認めたくない時ってありますよね。先日、鑑賞した「ソーシャルネットワーク」のマーク・ザッカーバーグもそうですけど、最初はどんなにすごくても疎まれるもの。だから少しずつ自分の価値を高める必要があるんです。

世間が急な変化を好まないなら、少しずつ自分の生きやすい世の中に変えて行く。そういったことができる人間が、強く、頼もしく、そして偉大な人物になっていくのでしょう。

■編集後記

いやー面白かった「プレステージ」。ミステリー好きにはたまらない作品でした。

監督のクリストファー・ノーラン作品は「ダンケルク」、「インターステラー」、「インセプション」に続いて4作目ですが、他の映画も見てみようと思案中です。

あ!それと最初のマジックマスターとか言われてたみたいな流れは、全部嘘です…。すいません。ちょっと格好よく思われたかったんです泣

とまぁ、最後にどんでん返しみたいなネタを文章中に作れれば面白いなと思ったのですが、たいして面白くもないくだらないネタで終わってしまったのは笑って許してください。

では、今回はこの辺で。

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