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文字書きが作った同人文庫 備忘録 4冊目


2022年9月までに作った4冊の同人文庫本

今日までに合計4冊の同人文庫を作りました。
書店に並んでいるような本を作るというこだわりのもと、内容や装丁を考えたので自分用の備忘録用に記事を書いています。

過去の記事はこちら


いよいよ最後の4冊目です

2022年8月のWebイベント用に作成した文庫本の備忘録です。
ずーっと出したかったご飯系の話をまとめた本です!今思えばひとりアンソロジーみたいな本でしたね。


※本記事の前半は、本持ってない方からしたらなんのこっちゃ?な内容なので、装丁の話だけ読みたい方は飛ばしてくださいね。


1.タイトルの話


日常話多め+飲食系の話ってわかるものにしたいなぁと思い決定。そんなに悩まず決められて良かった。いつもは数週間こねくり回すことが多いけど、これ以上しっくりくるタイトルはないなと思い即決。



2.中身の話


トライアングルシリーズは入れる予定だったけども、せっかくなので書き下ろし何本か入れようと計画。お野菜〜で既にソロ話があったので、今回は激辛〜を書こうと思いついたものの途中で行き詰まり、本物の辛いもの食べに出掛けたのは良い思い出(めちゃくちゃおいしかった)です。
バター〜の話は実際にあるケーキ屋さんについて色々調べて、妄想して書いてみました。いつか食べてみたいなあ。あと後輩ちゃんのお世話をするふたりを書いていて、やっぱりこの三人が好きだなあと思ったり。

夜な夜な台所は、本書に掲載することを決めてからタイトルを考えました。"真夜中キッチン"と悩んだけど、ふたりが登場する台所はおしゃれキッチンではなく昭和の台所をイメージしていたので没に。
姉さんに振り回されている彼ですが、おにぎり話と松ぼっくり話では満更でもなさそうな姿が見られます。100%フルーツジュースの前半の掛け合いが結構好き。

その他は、再録話を中心に何本か書き下ろしました。洋食系の話が全然ないのに気がついたのは入稿したあとでした時すでに遅し。オムライスとかハンバーグとかの話も書きたかったな。



3.装丁の話

全体的に温かい話が多かったので、暖色系を中心に考えました。

カバー表紙

これが
こうなりました


頭の中にぼんやりあった「テーブルの真ん中に朝ごはんが置いてある表紙」というイメージを形にすべく、実際に料理して写真撮ったものをはめ込んでみたり、自分で描いてみたりしたけど全然しっくり来ず。今回はいつもと違ってとにかく時間がなかったのでさくっと諦めて、boothにて水彩系素材を購入し利用させてもらいました。

前回もお世話になりました。今回も表紙や話間の中表紙?にもたくさん使わせてもらってます。

ちなみに、2冊目を作ったときに意識するようになった「丸と三角と四角を入れると良い」という点を今回も気にしてみました。

赤が四角、青が丸、黄色が三角

今回は全部入ってる!と思いきや、ちょっと近すぎたかも。画面の圧が出るようにおにぎりの絵を近めにしたのですが、ぎゅうぎゅうだなぁ。

あと、タイトルフォントをどうするか検討していた際のデータを発見したので載せてみます。

いつもこんな風に、複数フォントを並べてみてどれが一番しっくりくるかを考えます。文字間の詰まり方や縦横でも違いが出るので微調整しながら検討。
漢字が入っている場合はフォントによって対応していないものもあるので、複数フォントを組み合わせたり。組み合わせとなると本当に難しくってまだまだ苦手です。
あと、Macだと対応していないフォントが結構あるんですよね……良いなぁと思うフォントを発見して購入しても実は使えなかったりして四苦八苦しました。この辺りはまた別の機会に。




裏表紙

4冊ともほぼ同じ形です

カバー裏はいつも通り。背面のバーコードは下記に依頼しました。対応が早くていつも助かっています。




表紙

これが
こうなりました。写真は暗めですが、実物はもっと濃いオレンジっぽい色味です。

中華料理話が多いから、表紙は中華料理店ぽくしたかった。
枠組みだけなぜか透過設定してたみたいで、グレーっぽくなってしまいました……ケアレスミス……。




帯は最後の最後に作りました。写真の色はかなり濃いめに見えますが、実物は明るめのオレンジ色です。

煽り文は随分前に浮かんだ言葉を思い出して採用。裏表どシンプルだったけどそれが良かったようにも思う。背表紙の色ともマッチしてて良きです。

原稿データはこんな感じ

ちなみに、帯のサイズは50mmです。自分の中ではこのサイズが1番しっくりきました。



背表紙


こちらもレイアウトは前回と全く同じです


背表紙上部のナンバーは、原作最終回の日にしました。
余談ですが、毎巻ここの数字で遊んでいるのだけれど、こういう謎の羅列に何か意味があるのかどうか推測するのが好きです。

ちなみに、背表紙は今まで作った本全て同じ高さになるように設定しているので、並べるとこんな感じになります。

ずっと眺めてられるくらいに愛着湧いてます


色は気分で決めているのでバラバラですが、文字の位置などを揃えているので統一感があって良いです。書店に並んでそうな見た目に心躍ります。



目次

あと今回個人的に頑張ったのは目次です。
いつもは原稿終盤の燃え尽き症候群で適当になってしまいがちな目次を、飲食店のメニュー表みたいな形にしたくて試行錯誤。フォント大きくなっちゃったけどカラー印刷のおかげで可愛くできて大満足。

※キャラ名多いので色んなところ隠してます


フォントサイズはおおよそ12ptくらいです。ちょっと大きかったので、11ptくらいがちょうどいいですね。
ちなみに、2枚目の目次には半透過した背景載せていたのですが印刷されませんでした。

文字の後ろにうっすら入ってる絵柄です。昼間と夜を表したかった


まぁこれは仕方なし。あまりにも薄すぎたわ。




4.仕様の話

[サイズ]
 A6
[ページ数]
 164
[本文用紙]
 ソリストSP ピンククリーム 56.0kg(0.110mm)
[表紙用紙]
 紀州の色上質 最厚口 びわ
[カバー用紙]
 HS画王 109kg
[オビ用紙]
 b7トラネクスト 79kg
[PP加工]
 カバーにマットPP加工
[厚み]
 本の厚みはカバー表紙含めると1cmほどになりました。ちょっと薄めの文庫本って感じですね。

今回の仕様はすべてびたっ!とはまった感じがして、現物が届いた時はめちゃめちゃ嬉しかった。
前回作ったカバー表紙の用紙を使用して今回はマットPPかけてもらったんだけど、なぜだか微妙にきらきら輝く表紙になってたのには驚きました。

光が当たっている箇所が微妙に輝いてます

画像では伝わりにくいでこぼことキラキラ具合。なんでだろう、凹凸具合でこうなるのかな?なんにせよ特別感増したのでラッキーでした。

マット感があるので質感が面白い
用紙の感じも合間って、可愛らしくなりました


触ってみるとぽこぽこ&さらさらしてるのですが、今回はそで部分の質感と印字具合がめちゃくちゃ可愛いです。お手元にある方はぜひ触ってみてください。

本文用紙は、今回は日常&温かい印象の話が多かったので、ピンククリームの用紙にしました。実物見てみるとほんのり色ついてるくらいな感じですが、過去に発行した本と比べてみるとちゃんとピンク色してる、けれど読んでる時はそこまで気にならないという不思議な紙。


薄さは悩んだけれども0.110mmにして正解だった。柔らかいけど少し硬さもあって読みやすい厚みでした。
単体で見るとあまり気がつかないのですが、今まで出した本と比べてみるとほんのりピンク色です。

左から順に
ミステリッククリーム
ソリストN ピンククリーム
メヌエットフォルテC



5.本文レイアウト(組版)


本作成4回目にしてようやく、これだ!という設定ができました。
相変わらずpagesで書いたので参考になるかわかりませんがよければどうぞ。

[フォントとサイズ]
 游明朝体 8.5pt
[行間隔]
 固定値:13pt
 段落前:0.5pt
[余白]
 ヘッダ余白:0.8cm
 フッタ余白:1.0cm
 上:1.0cm
 下:1.0cm
 内側:1.5cm
 外側:1.27cm
文字数と列数で数えると、縦は40文字、横は17列です。

裏写りは控えめ
左が3冊目、右が今回の本です


フォントは印刷するときの最小値として8.5ptかな。前回出した本が小さすぎた。見やすさ重視するなら9ptが良いかと思います。


印刷所と入稿の話

今回はとにかく仕事が忙しすぎて、原稿できる時間が1番短くて本当に焦りました。
イベント前に現物が手元に届くように逆算すると……え、来週入稿しないと間に合わない!?本文8割それ以外何もかも白紙ですけど!?てひとりで笑ってた記憶が……(苦笑)。
ということで、一番使い慣れた印刷所さんを選択。いつもお世話になってます。
※結局4冊ともワンブックスさんで作らせていただきました


原稿の取り組み期間が短かったのは、計画立てるもののリスケ下手くそ人間&脳死状態で考える力がほとんどなかったので致し方なしです。
毎朝早起きして作業→夜の隙間時間にミスチェックなどをするというルーティンで一週間根詰めて作業して、よし入稿だ!と思った矢先、最後の最後で背幅サイズ計算ミスに気がつきます

私はいつもワンブックスさんのテンプレートをお借りしているのですが、その際には背幅の計算を自分で行って最適なテンプレをダウンロードして使わせてもらっています。


こちらのページを参考に計算すると、本来であれば・・・

 ソリストSP ピンククリーム 0.110mm × 164ページ ÷ 2 + 0.5 = 9.52

小数点は0.5単位での繰り上げなので、選択・使用するテンプレートは、表紙(カバー表紙ではなく表紙なので注意)背幅『 10.00 』がベストとなります。

しかし、私は何を思ったのか表紙背幅『 10.5 』のテンプレートで諸々作成していたのです。
0.5の差って相当まずいのでは……?でもいまからやり直すとなると……!?と大パニック。
藁にもすがる思いで問い合わせしたら、そこまで気にしなくてもだいたいで大丈夫ですよと担当者の方から連絡いただけて安心しました。
おおよそのサイズで断裁するので、結局数ミリ程度はずれるんだそうです。よかった〜。

無事入稿したあとは、出来上がった本が届くのを待つのみ。
不備がないことを祈りつつ(前回盛大にやらかしたので余計に)待っていたところ、イベント三日前に手元に届く予定が今回は他のスケジュールが空いていたのか一週間前に届けてくださいました。ありがたや……。

余談ですが、ワンブックス さんからの荷物は本に傷が入らないための配慮なのか、中に数十枚の用紙を入れてくださっているんですが、これを楽しみにしていたりします。毎回紙の種類が違うのも楽しい。この紙で落書きしたりするのが好き。今回はたぶんクラフト用紙かな?これに買い物用のメモ書いたときは「なんて贅沢なことしてるんだ」と思ったり。

歴代入っていた紙たち


まとめ


時間がない中でも尻に火をつけて必死にやればできるんだなぁと思った今回でした。※おすすめしません!!計画的に作りましょう!!
まぁとにかくイベントに間に合って良かった。本当に当日は楽しくって、あっという間に時間が過ぎて行きました。感想もいただいたり、いろんな方と交流できたり。一般参加では味わえないような経験もできたので、今回も本作って良かったなぁという気持ちでいっぱいです。
お手に取ってくださった方、本当にありがとうございました。

これにて4冊分の備忘録は完結です。
この先また本を作ることがあればその都度記事を書こうと思っています。

あと、私の原稿環境は全てMacOS(iOS)端末で行っていたのですが、同じような環境で作業されている方の記事があまり見当たらなかったので、Macだけでも原稿はできるよ的な記事を書こうかなぁと思っていたりします。ご興味のある方は気長にお待ちください。

以上、ここまで読んでくださりありがとうございました!