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親友と付き合って2日後に別れた

親友と2年ぶりに再開した。

4月の風が強い日、大学の図書館前のテラスで、彼とばったり会った。久しぶりのはずなのにそれを感じない程に気楽で、楽しくて、更には僕達の周りを桜が舞っていて、「ああなんかいい感じだな」って思ったのを覚えている。

そう、友達の少ない僕に、奇跡的に親友がいた。

彼とは2年前、大学1年生の時、同じサークルで知り合った。人見知りでわがままな僕に、こんなに話しかけてくれる人は初めてだったと思う。話しかけられても、面白い話なんかひとつも出来ないから、彼はきっと何度も面倒に感じたんじゃないか。それでもイヤな顔ひとつ見せずに、いつも笑って僕の話を聞いてくれた。

1年生の秋ごろ、色々あって、正直死のうかなと思った時があった。当時僕が彼に相談した時、彼は、彼だけは、ただ僕と一緒に泣いてくれた。

最後に書くけど、僕が2年前サークルをぬけてから、彼とはずっと会っていなかった。

とにかく、彼との友達関係が再び始められることに僕は心から嬉しかった。ずっと一緒にいて、また、どうでもいいことで笑っていたかった。


それから10月、

大学でなんとなく再開して、また一緒に遊ぶようになって、慌ただしいサマーインターンも落ち着いてきた時期。この日も飲んで、そろそろ帰ろうとなった。色とりどりのネオンがチカチカする夜の新宿の中で、彼は「らいべに、付き合ってよ」と言った。

うわ。色んな気持ちが逡巡した。彼に対する恋愛感情はなかった。人付き合いとか苦手なのに、恋愛関係はもっと苦手だ。なのに、僕の口から出た言葉は

「いいよ」

なんだろう、いいよって。とても罪深い言葉だ。

本当はわかっていた、その気が無いなら初めから断るべきだと。なのに断った先の未来が嫌だった。ただ僕は彼を繋ぎ止めたくて、仲の良いままでいたくて、でもどうすればいいのか分からなくて、選択を先延ばしにした。

「ごめん友達としてしか見れない。でも友達として、ずっと一緒にいて欲しい」なんて、そんなワガママ言えなかった。

その後、なんか付き合ったことになって、カップルっぽいラインをしたり、ランチを食べに出かけたり、ちょっと手を繋いでみたりしてた。

でも結局、そうやって嬉しそうな彼を見るうちに罪悪感が湧いてきてしまって、すぐに「ごめん」と言ってしまった。

彼を振り回して、断るより良くない結果になっちゃった。まあまだ、キスとかする前で良かったかもしれない。それでも、取り返せない深い溝を残してしまった。

あんなに仲が良かったはずなのに。僕らの関係は、想定よりも非常に脆かったんだなと悲しかった。


あぁ、本当は、きっと、

最初から、僕達はすれ違ったままだったんだろう。

2年前にも彼からは告白を受け、僕は断った。彼以外に仲のいい友人がいなかった僕はサークルを抜けたから、気まずいまま、彼との関わりは自然と消えた。

3年生になって、たまたま学校で会い、2年振りに会話して、友達に戻れたかなと期待した。

でも今思えば。再開したときの彼は、別の女の子に告白しようとしていなかったか。その相談を聞く僕に対し「らいべに、保険かけといてよ」と、冗談めかして言ってなかったか。

あの時から僕は、彼のことを見て見ぬふりしていたのかもしれない。自分の都合のいいように、バイアスをかけて。

僕のワガママに振り回してしまったのに、最低だと罵倒してくれればよかったのに、LINEの返事は

「言ってくれてありがとう」

だった。

ごめん、元親友。

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