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新作YA『スペシャルQトなぼくら』

新作YA『スペシャルQトなぼくら』が講談社様から発売されました!
2018年に連作短編の『給食アンサンブル』を出版していただきましたが、長編YAは2013年の『シンデレラウミウシの彼女』以来、実に8年半ぶり! この8年間、何度も長編YAの執筆に挑戦しては途中で挫折したり、書きあげてみたもののお蔵入りにしたりと悪戦苦闘を続けていたので、こうして新たな作品をみなさまにおとどけすることができ、とても感激しております。

スペシャル Qトなぼくら・表紙

刊行にあたって「コクリコ」と「FRaU」で、この『スペシャルQトなぼくら』について語った記事を掲載していただきました。また、日本YA作家クラブの会員インタビューでも本作の紹介をしていますので、こちらもぜひお読みください。

「クエスチョニング」ってなに? 物語を通じてLGBTQを身近に(コクリコ)

男がかわいくなりたいのはおかしい?「窮屈さ」から解放されてわかったこと(FRaU)

『スペシャルQトなぼくら』のおしゃれな二人とキュートで明るく性自認について知ってみよう!(日本YA作家クラブ)

『スペシャルQトなぼくら』は「Q」と「キュート」がテーマの物語です。
「Q」はLGBTQのQ、クエスチョニングのことです。クエスチョニングとは、性自認や性的指向が定まっていない人のこと。要するに自分の性別が男女どちらなのかわからなかったり、自分がどんな性別の相手を好きになるのかわからなかったりする人のことを意味します。わからないわけではなく、あえて決めていないという人もクエスチョニングに含まれます。

表紙に描かれた主役のふたりのうち、左のユエは身体的には男子ですが、性自認が不明のクエスチョニングです。右側にいる物語の語り手のナオは、自分のことをはっきり男子だと認識していますが、次第にべつの理由で自分もクエスチョニングではないかと思うようになっていきます。

そしてナオもユエもキュートなものが大好き。作中でも表紙のイラストのようにメイクとウィッグでバッチリかわいくなって、おきにいりのファッションをたのしんでいます。
ふたりのおきにいりの服はほとんどがレディースですが、好きなものは好きなんだからべつにいいでしょ、というスタンス。『スペシャルQトなぼくら』は、そんなふたりのキュートで軽やかな青春小説となっています。

物語の語り手となるナオ=宮地直行は、勉強の成績がそこそこいいことを除けば、ごく平凡な中学2年生。年齢にくらべて容姿がやや幼く、頭がいいはずなのに隠しごとが苦手だったり反応がわかりやすかったりするので、仲間内ではいじられキャラとして愛されています。

もうひとりの主役のユエ=久瀬優英は、ナオのクラスメイトで、定期テストでは不動の学年トップを誇る超優等生。話してみると気さくな性格なのですが、優秀すぎる成績に加えて、休み時間も勉強ばかりしているせいか、クラスメイトからは距離を取られ気味です。

勉強が趣味とまわりに思われているユエですが、ほんとうに好きなのはメイクとファッション。休日は家から離れた街でおきにいりのキュートな服を身にまとって、古着屋めぐりをしています。
そんなユエの姿を思いがけず目撃してしまったことをきっかけに、ナオは自分もユエのようにメイクをしてかわいくなりたい、キュートな服を着てみたいと願うようになります。
男がかわいくなりたいなんておかしい。そんなふうに考えて、その願望に素直になれないでいたナオでしたが、ユエとの交流を通じて、徐々にメイクやファッションをたのしむようになり、ユエとの距離も縮まっていきます。

「Q=クエスチョニング。自分の性別が男か女かわからない。自分が好きになる相手が異性か同性かわからない。だけど、どっちかわからなくたって、ぼくらはぼくらの好きなものが好き!」
帯に書かれたリードの文章は、私が発案したものです。この文章はクエスチョニングのナオとユエの視点から書かれたものですが、クエスチョニングでない人でも、性別とか年齢とか立場とか気にしないで、好きなものは好きでいいじゃない。『スペシャルQトなぼくら』の物語には、そんなメッセージもこめられています。

題名と表紙の印象どおりのキュートでさわやかで明るい物語で、きっとたのしく読んでいただけると思いますので、ぜひ手に取ってスペシャルキュートなナオとユエの物語に触れてみてください。

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