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リベラジ「社会とは何か?」〜街づくり、教育、社会学から〜

社会とは何か?に取り組んでいるリベラジリアーツ(リベラジ)ですが、今回は三名から話題提供と対話のワークの会を行いました。

1.コンパクトな街づくり

現代の日本が抱える問題として、高齢者の増加による活力の低下や、医療施設の逼迫などが危惧されています。また地方部では、市街地の拡散に伴い、生活サービスを十分に受けられない人々も増加しています。こうした問題への解決策として、国はこれまで「コンパクトシティ計画」を推進してきました。

コンパクトシティとは、下のイメージの通り、分散した市街地をいくつかの拠点に集中させる政策です。また、これらの拠点を公共交通によってネットワーク化させることで、都市間の行き来をスムーズにすることもできます。

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コンパクトシティ化を行うメリットは、主に4つに分けられます。

一つ目は都市経営の観点です。公共施設やデパートなどを拠点に集中させることで、地域経済を活性化させることが望めます。また、人口が都市部に集中するので、公共投資や行政サービスの効率化を図ることができます。

二つ目は高齢者・子育て環境の観点です。人口密度の低い地域では、病院や保育施設などの不足が問題となっていますが、コンパクトシティではこれを解消することができます。また、人々が地域に集まることにより、高齢者や子育てコミュニティの形成が容易になります。

三つ目は地球・自然環境の観点です。多くの地方部では、市街地の拡散により、自動車が主な移動手段となっています。一方、コンパクトシティでは、都市内にバスや電車などの公共交通が発達し、さらにそれぞれの拠点がネットワーク化されるため、自動車の利用頻度を引き下げることができます。

四つ目は防災の観点です。郊外の災害リスクの高い地域に住む人々を、リスクの低い都市部に移動させることで、被害を未然に少なくすることが望めます。

こうして見ると、コンパクトシティ化は一見メリットだけのように思えるかもしれませんが、一方で弊害も懸念されています。例えば、都市部での不動産価格の上昇や近隣トラブル・渋滞の増加、郊外地域との格差などが挙げられています。

コンパクトシティの代表的な事例として、今回は富山市青森市を取り上げました。

富山市では、市内にLRT(富山ライトレール)と呼ばれる路面電車を開通させることにより、「歩いて暮らせるまち」を実現しました。また、高齢者に対しては、公共交通利用料金の割引や、孫とのお出かけを推奨する事業もおこないました。こうした取り組みにより、富山市内への転入は2008年から増加傾向となっています。

一方、青森市では、中心市街地の活性化を目指し、「アウガ」と呼ばれる再開発ビルをオープンさせました。「アウガ」の中には市場や商業テナント、市立図書館など、市民の方々には嬉しい施設が内蔵されました。しかし2008年、「アウガ」は深刻な経営難に陥っていることが明るみとなり、現在もコンパクトシティ化の実現は伸び悩んでいます。

以上がコンパクトシティの概要に関する説明でした。次の対話のフェーズでは、以下の二つの疑問を提示しました。それに対する参加者の方々からの声も合わせてご覧ください!

Q1. コンパクトシティ計画により、今の地域からの転居を勧められたらどうする?

・引っ越しの費用がいくらかかるか心配
・自分にとって光るメリットが無い限り、移る気になれない
・なんと言っても東京が良い

Q2. コロナ時代にコンパクトシティ化は適切?

・人が密集し感染リスクが上がってしまうので、進めるべきではないと思う
・感染防止対策を一部地域に集中させることができるので、逆に効率が良いかもしれない

以下は今回の参考資料です!


2.社会における学習とは?

社会における学習に関して、ヴィゴツキーらの社会構成主義から話題提供をしました。

まずは、参加者に「好きな学び方とは?」を聞きアイスブレイクを行いました。そして、社会における学習を考える上で、役に立ちそうなヴィゴツキーの最近接発達領域(ZPD)やウェンガーの実践コミュニティについて少し説明しました。

最近接発達領域(ZPD)とは、「自分よりできる他人と一緒に協働・作業することによって自分のレベルをあげる」ことで、例えば数学ができる人と一緒に図形を解くと、補助線がわかるようになることが挙げられます。

実践コミュニティとは「社会的実践が繰り広げられる場で、人々は実践コミュニティにおいて、様々な役割を担い行為して、コミュニティ維持に貢献する」ことで、例えば部活内で先輩と後輩が試合についてリフレクションを一緒に行うことが挙げられます。

その後、問い「社会構成主義に当てはまらない学びとは?」について対話を行いました。ここでは、読書やたった一人が発見・発明することが挙げられました。しかし、その人がコミュニティの一部として学ぶのならば社会構成主義的であるとも考えたり、盛り上がりました。

ヴィゴツキーについて詳しく知りたい方は以下をご参照ください!専門的ではありますが、より理解が深まると思います。


3.ルーマンのシステム理論から考える社会とは何か?

ニクラス・ルーマンからみる社会とは何か?と題して船岡から話題提供がありました。
まずは社会の構成要素とは何か考えました。構成要素とは社会とは何でできているか?に言い換えられます。社会とはOOであるに言い換えられそうな言葉は、事前に行ったブレストでは人、家族、思想、行動等の言葉が目立ちました。
実際に社会の構成単位として個人、家族、行為であるという言説は多いが時にはサッチャー元首相のように「社会とはない。あるのは男と女と家族だけ」という解釈もありました。

この上で、ドイツの社会学者ニクラス・ルーマンは社会とは絶えず生み出されるコミニュケーションの総体であると定義しました。
コミニュケーションとは日常生活で使われるような会話だけではなく、情報が伝達されたと理解されることとルーマンは定義しました。
例えばお金を払って商品を得るという行為もコミュニケーションだと理解されます。
そして、コミュニケーションのシステムが社会にあり、体系的な整理をしたのがルーマンの社会システム理論で社会を

経済

科学
政治
宗教
教育
芸術
マスメディア

の8つのシステムにわけました。

ここでこの8つの社会システムを参考にしながら社会のルールを作ってみて下さい。
Q もしあなたが100人の村のリーダーになったとき、どのようなルールを設けますか?10個程考えてみて下さい。

これについて対話を行い、現実的なルールから様々なユニークなルールまでたくさん出て盛り上がりました。ちなみに私の去年の応えです
https://note.com/funayoshi44/n/n086c51e19d81

参考
世界が100人の村だったなら
社会システム理論(伊庭)
http://www.miyadai.com/index.php?itemid=60&catid=7




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