点線でお茶のなかみが描いてある
シリーズ・現代川柳と短文NEO/105
ショッピングモールの外れにひとり、似顔絵屋がいた。店を構えてはおらず、パイプ椅子とイーゼルとスケッチブックのみ。きっとモール側に許可も取っていないのだろう。魔が差して似顔絵を描いてもらうと、なぜかそれは点線で描かれていた。ありがとう。そう伝えて料金の5千円を支払うと、財布には5千円のかたちをした点線で描かれた四角形が残った。
【きょうの現代川柳】
点線でお茶のなかみが描いてある
/栫伸太郎
▼出典
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