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心が軽くなる魔法のことば

何もできない時の呪文「何もしない」

数年前に「うつ病」になった。

社会人たるもの仕事は完璧にこなすべし。
その想いが強く経験豊富な大人に揉まれ、
僕はどんどんと調子を崩していった。

僕は社会人になる前は夢追い人だった。
周りからも「メガッパに社会人は無理」と、
散々に言われ意地になっていたのかも。

実際、僕は社会人に向いていない。
理不尽を耐えたり、ヘラヘラ笑ったり、
尊敬できない先輩に媚びへつらったり。

僕はそのどれもが苦しい。
目に見えないはずのHPなのに、
突然現れて減少する様子が窺える。

「何でもします」
ズズズズ。
「今日頑張れば大丈夫です」
ズズズズ。
「頑張ります」
ズズズズ。

何かを引きずる音がする。

帰宅は早くても24時を回り、
皆よりも2時間早い8時に出社。

頑張ります。
がんばります。
ガンバリマス。

妻がクリニックへ連れて行く直前の僕は、
「死なない程度の大きな事故」を狙って、
何度も何度も交通違反を犯した。
(今思えば迷惑極まりない)

それ程までに会社へ行きたくなかった。

だけれど幸運にも事故にはならず、
今は大いに良かったと思っている。

身の回りのことも億劫になった。
部屋の片付け、食事の摂取、
日々の入浴、友人との約束。

自分でも言うのも変だけど、
綺麗好きだと思うし、
遊ぶ時間も好きだった。

あの時の一人暮らしの部屋。
詳細は思い出せないけれど、
きっとあちこちが汚かっただろうな。

仮にうつ病患者のルームツアーがあるとして、
その部屋が片付いているのであれば、
それはきっとうつ病ではないと思う。

人に見せれるモノでは無いし、
そもそもビデオなんて回せない。

そして、月日は流れ僕は妻と同棲した。

同棲して間もなく、
仕事が猛烈に忙しくなり、
妻同伴のもとクリニックへ通院。

その当時の妻が言った何気ない一言。
「何もできない時は何もしない」
完璧を求める僕は目から鱗だった。

いつだって周りの目を気にしては、
「頑張らなきゃ」の鎖に縛られ、
吐き気をもよおしていた僕。

そんな当たり前に気が付かなかった。
そして、何より安心した。

依然として感情の波はやってくる。

数年前と比較すれば、
少しずつ良くなってきているが、
頑張れない時が3割弱はある。

だけども、僕には心の支えがある。
少しだけ前が向けそうだ。

妻は命の恩人。
大袈裟ではなく、本音で言える。

まだまだ日々頑張らないための訓練だ。
ついつい焦って動いちゃうし、
ジタバタ足掻こうとするし、
人と同じに憧れてしまう。

そんな時は妻の一言を胸に、
少しだけピタッと止まって、
大きな深呼吸をして、
出来るだけ前を向く。

メガッパ

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