悪の正義、正義の悪
悪から見れば、戦隊ヒーローこそ悪である。
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犬の散歩中、女性と口論になった。
子どもが駅前のコンビニ近くで大声で泣いてたので、立ち止まり「なんやろ?」と思いながら様子を見ていたら、子どもの前に2人の若い女性が居た。
1人はおそらくその子の母親、
もう1人はその母親の友人。
一連を見ていたわけではないが、
流れを汲むにコンビニで買い物中に、
子どもがカゴにお菓子を入れたのだろう。
「一人でそのお菓子を返して返金してこい」
と若い女性が子どもに叫んでいた。
その子どもはどう見ても年長レベル。
1人で何かできる年齢ではない。
女性2人は子どもに怒りを散々ぶつけ、
子どもにお構いなくスタスタと駅へ向かう。
2人はずっと電車の時間を気にしている。
見向きもされない子どもがわめいている。
僕は心がゾワゾワし、2人に暴言を吐いた。
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「可哀想!子どもにエグすぎやろ!」
僕は通行人に聞こえる大きな声を出した。
狙い通り、女性をはじめ通行人も僕を見た。
僕はこいつらに恥をかかせたいと思ったのだ。
母親らしいその若い女性は、
「あんたに関係ないやろ!」と叫ぶ。
そして、その女性が僕の方へ向かってくる。
僕は「見てて胸糞悪いねん!」と言う。
女性は「じゃぁ、見んな!」と叫ぶ。
僕は続けて「見たくなくても見えるやろ」
女性が何かを言おうとした時に、
その友人が間に入り、子どもを見に行く。
僕は怒りが治らず「お前が行けや」と言う。
女性は「はぁー?なんでやねん!」
僕は「なんで?親ちゃうんか?」
女性は「なんで親が全部見なあかんねん」
そうこうしている内に、
友人と子どもがやってきた。
母親らしきその若い女性は、
「電車、間に合わんくなるから早よせぇ」
と言い、足早に駅へ向かう。
そして、僕の方を振り向き吐き捨てるように、
その女性は「キモいんじゃ!」と言い、
その場を去っていった。
そして、僕と女性の口論は幕を閉じた。
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今思えば、僕の行動は正しくない。
きっとその後、子どもは親に怒られる。
「アンタのせいで恥かいた」と。
子どものことを考えるのであれば、
親に恥をかかせるのではなく、
僕が子どもについて行けば良かった。
女性2人の格好を見るに、
とあるテーマパークへ向かっていた。
子どもを含めきっと今日は僕のせいで、
何一つ楽しめないだろうな。
子どもにとって僕は有害以外の何者でもない。
正しくない正義を他人にふりかざした。
その価値観は僕の価値観であり、
その女性の価値観と異なっただけだ。
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戦隊ヒーローは悪から人々を救う。
悪は退治され、多くの人々は喜ぶ。
でもその戦闘で街は壊滅し、
嘆く人々も存在する。
そして悪の子は親が退治されたことで、
復讐心に満ち溢れるだろう。
負のスパイラルだ。
ヒーローと悪は価値観が相違するだけ。
悪は悪の価値観があり、
悪にとっては正義である。
今回の僕の行動はまさにヒーロー気取りだ。
悪を退治した気分になっているが、
価値観の違いを通行人を巻き込んでまで、
暴言という暴力でその女性を苦しめた。
どんな人にも価値観は存在する。
だから対立した時には、
相手の立場になって、
或いは自分を俯瞰的に見て、
何がベストな行動かを考えようと思った。
メガッパ
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