アメリカン・イデオロギーの教科書
言わずと知れた『シートン動物記』の一編で、北米カランパ渓谷に棲むオオカミの首領「ロボ」の生き様を描いた感動作、という美辞麗句を取っ払ってみれば、なんのことはないただのプロパガンダである。
作者アーネスト・シートンはイギリス出身で、動物に関する専門教育を受けていない、王立協会(ものすごい権威)の奨学金を得たほど有望な画学生だった。本人も「アーティスト」と自称していた。
成人してから父親との仲違いにより渡米し、野生動物の観察記録をつけだした。それをまとめたのが『動物記』