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走れメロスで最も注目すべき男「フィロストラトス」の話

「もう、駄目でございます。むだでございます。走るのは、やめて下さい。」

byフィロストラトス(自称:セリヌンティウスの弟子の石工)

濁流を泳ぎ切り、山賊を返り討ちにし、強い日差しにも耐えたメロス。
あらゆる試練を乗り越えてきた彼に最後に襲い掛かるのは、この甘い囁きだったのです。

「これ以上頑張ってもどうせ無駄だから、やめちゃおうかな」

そんな誘惑に駆られたことは、誰だって一度はあるでしょう。それは時に、目の前にそびえる壁や、足を引っ張ってくる敵よりも厄介なものとなります。
まさに悪魔の誘惑。「最大の敵は自分自身」とは、本当によく言ったものです。

ところで、「フィロストラトスは悪王ディオニスが送り込んだ刺客」という説もあるそうですね。その前に襲ってくる山賊も王の手先かと思わせる描写がありますが、実名で自己紹介までしているフィロストラトスもがそうとは考えたくないですね(笑)

フィロストラトスは、最後の別れ際にこんな言葉を残します。

「ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。走るがいい。」

仮に王の手先だったとしても、この言葉には本心から来る相応の重みがあるように感じます。「もう無駄だからやめてしまえ」と言い張っていた彼が、最後に「ひょっとしたら間に合うかも」と言ってくれるのはなかなかアツい展開だと思いませんか?

私たちの人生には、どうしようもなく困難な道のりがたくさんあります。しかしそこで「まだ日は沈まぬ」「信じられているから走るのだ」と自分を励ますのも、「もう無駄でございます」と諦めを囁くのも、きっと自分自身なのでしょう。

「信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題ではないのだ。人の命も問題ではないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいもののために走っているのだ。」

byメロス

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