#4 燃え尽きないようにする

学生スポーツは学生であるからこそ耀かしいという側面は確かにあるのですが、選手が高校3年間や大学の4年間のタイムリミットを意識して過ごし、その後は競技としてスポーツに関わらないというのは、スポーツ界にとって大きな損失です。インターハイやインカレで活躍した選手たちの大半は、進学先や就職先に競技を続ける環境が整っていなければアスリートとしての人生を諦めてしまいます。

スポーツっていうのは残酷なもので、"強烈な努力を重ねれば誰でもトップになれる可能性がある"という世界ではありません。肉体的な才能だったり幼少期の環境や、最初にスポーツに取り組む際の指導者など、自分の努力ではどうにもならない側面が必ずあります。

という前提に立つと、高校3年間や大学4年間と言ったカテゴリで競技人生を区切ろうとしないで、燃え尽きないように長い期間アスリートとして生き延びていく方が、勝つまではいかなくても、それなりに活躍できるチャンスがやってきやすいはずです。今のご時世、ベテランと呼ばれる年齢で大活躍している選手はたくさんいます。社会人になっても競技を続けている人がたくさんいれば、そのスポーツ間で他業種の人との情報交換も容易になりますし、努力も続ければ継続的に成長できるし、何より健康的です。ベテランが多い方が若い人は多方面で教えを乞いやすいし、若手は競技以外にも進路やキャリアアップなどの生の声を知る機会を得やすくなります。

私は近年、そういった視点でスポーツ界を見ています。プロスポーツの現場にいる人は高い価値を持っているし、尊いものですが、じゃあプロになれない人は競技としてスポーツを続ける価値がないのかと問われたら、そうではない。むしろフルタイムワーカーが競技に取り組み続けることこそ、スポーツの発展に寄与できるチャンスを広げるのではないかと思います。

趣味としての生涯スポーツではなく、競技としての生涯スポーツに従事する人を増やしていくのは簡単ではありません。そういうメンタルを養う方向に選手を育てられる指導者が少ないからです。選手が大好きだったはずのそのスポーツを、"真剣にやるのは高校で、大学で終わりにしたい"と思わせてしまうような指導が、世の中には数多くあります。

短いタイムリミットで競技を引退させてしまうことは、本当に選手にとってファーストなのでしょうか?スポーツ界にとっては?

私はこれを、両者にとっての大損失だと思うのです。こういった考えが根底にあって、私は"SNE Athletes"を立ち上げたのです。

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