BtoBでも広がる「ライブコマース」、中小メーカーも取り組む理由とは?

こんにちは。今回はライブコマースについて書いてみようと思います。

ライブコマースとは、商品やサービスの紹介・販売をライブ動画で配信しながら行うことです。SNSの動画配信機能を使ったり、最近だとZoomを使って行っているケースもあります。リアルタイムに配信するので、視聴者は気になる商品があればチャットなどで質問したり、会話しながら購入できます。

この「質問や会話ができる」というところがライブコマースのメリットで、販売側は店頭での接客と同じようにお客さんの反応を見ながら商品の魅力や使い方、着こなし、機能などを伝えることができます。

たとえば、会話の中でお客さんが気になった商品を販売者がその場で試着してみたり、使用している場面を見てもらうことでさらに関心が高まって購入に結び付く、という声もあるようです。


世界で広がるライブコマース

ライブコマースは、新しい形のECとして2017年ごろから中国で人気が出てきて、今では欧米など海外でも浸透しています。

実際に中国では、ライブコマースの2020年の流通総額が14.6兆円になるとも予測されています。2019年と比較すると2倍以上伸びていて、2020年のEC全体の流通総額の中で約8.6%を占めています。コロナの影響も大きいと思いますが、今では大企業のCEOや会長などが自ら出演して販売する例もあるほど、注目されている販売形態です。

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[2020年は流通総額が9,610億元(約14.6兆円)になると予測       (出所) 艾媒咨询「中国直播电商报告」]



このライブコマース、日本でもじわじわと広がりつつあるのです。

プラットフォームのサービスとしては昨年から楽天LIVEがスタートし、今年の7月からはZOZOも「ゾゾチャンネル」を開始しました。ほかにも大手セレクトショップでもいくつか導入しています。

また、インスタグラマーや個人のお店がインスタグラムやイチナナライブなどのアプリを使ってライブコマースをする景色も広がっています。


この流れはBtoCだけではなく、徐々にBtoBの中でも浸透しつつあります。たとえば、アパレルや雑貨のメーカーと小売店の取引。

コロナ禍でこれまでどおりの営業活動に制限が出てきている業界は多いと思いますが、アパレルや雑貨業界でも同じような声を聞きます。

また、本来なら今のシーズンは展示会開催時期です。ですが、これもコロナの影響により開催を見合わせるメーカーも多いのではないでしょうか。また、開催されたとしても小売店や事業者は、仕入れに行くのを控える傾向にあるようです。

そんな背景から、展示会や営業の代わりにライブコマースを利用するメーカーが増えつつあるのです。


BtoBでも関心が高まる理由とは

BtoB、いわゆる企業と企業の取引においてもライブコマースに関心が高まっているのには、2つの理由があるのではないかと思います。


①ブランドの世界観やモノづくりへの思いを伝えたい

リアルの取引や展示会が出来なくても、オンラインで取引をするメーカーや小売店も多いので、それなりにカバーできると思います。

ただ、「もっとブランドの世界観をみてもらいたい」「モノづくりへの思いを伝えたい」など「まずは自分たちのことを知ってもらいたい」といった点では、自分たちの声や熱意をそのまま届けることができるライブコマースのほうが伝わりやすいのではないでしょうか?

(ウェブサイトでも伝えることはできますが、テキストの量が多くなったりページが増えたりすると読む側も大変ですよね・・)


②取引先との関係性を作りたい

通常の営業活動でもそうですが、とくに展示会では既存のお客さんへの新商品の紹介はもちろん、新規のお客さんと出会うことも大きな目的、というメーカーも多いですよね。

その場合、まずはお客さんと会話や、情報交換をしながら徐々にお互いのことを知っていくことが重要ではないでしょうか。双方向のコミュニケーションが取れるライブコマースなら、この点もカバーしてくれますね。


先日、卸・仕入れサイトの「スーパーデリバリー」でもライブコマースを開催しましたが、出演されたオーガニック食品のメーカーの方は、使っている食材がどんな場所でどんな工程で作られているのか、どんなお店でどんな風に使用されているのか、商品へのこだわりなども熱く語っておられました。

視聴した小売店の方からは「商品のコンセプトに共感でき、これからどれを仕入れようかと楽しく見ていました」「社長さんの人柄が伝わってきて、楽しく勉強できました」という反応がありました。

また、小売店の中には「商品はネットでも見れるからわかるけど、担当の営業さんがどんな方なのか知りたかったので視聴してみた」という方もいたり、逆にメーカーの方からも「既存のお客さんがもちろんだけど、まだ取引のないお客さんにも商品の魅力を伝えたくて使ってみた」という声もありました。


すでに取引のある間柄だと、信頼感もあり安心して取引ができると思いますが、初めて取引をする際は「どんな会社だろう?」「どんな人が販売しているのか?」といった事が多少は気になるのではないでしょうか?

やっぱり相手の顔なり人柄がわかると、親近感も沸きますし、関心も沸いてきますよね。

ライブコマースをきっかけに存在を知ってもらい、興味を持ってもらう、まずはそこから・・・といった感じでこれを機にライブ配信をするメーカーが増えています。


実際に、スーパーデリバリーを利用しているメーカーの中にも、ライブコマースがきっかけで新規の取引に繋がったケースもあり、少しずつですが手ごたえを感じているメーカーも増えてきています。

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[スーパーデリバリーで開催したライブコマースの様子]


ライブコマースは本格的な機材やスタジオがなくても、PCやスマホでZoomを使って簡単に配信できるのも魅力ですし、コロナの影響で通常の営業にも支障が出ているメーカーと、仕入れに出向く機会が減っている小売店や事業者の間で、これから一つの取引形態として広がっていくのではないでしょうか。

スーパーデリバリーでも、ライブコマースの効果や反響をこれから発信していきたいと思います。(こちらは先日のライブコマースのレポートです。配信した動画もご覧いただけます↓)




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