#277 長期キャリア形成の鍵は学び直す謙虚さ 24/12/4
こんにちは。
今日は、キャリアについて考えます。
(実例を基に編集しています)
先日、ある部門責任者Aさんと1on1をする中で、Aさん自身のキャリア形成の話になりました。
Aさんは当社に新卒で入社して、ずっとここまで自社の中でキャリアを積み重ねてきた方です。ここ数年は、1つの部門を任され、事業成長をけん引してきていらっしゃいました。
Aさんははじめに自分のキャリアについて悶々としている部分を語ってくれました。
「この事業に携わって7年ほど。そろそろ後任も育ってきたし、譲る時期ではないか、と考えているのですよね」
「一方、私自身は、次にどんなチャレンジをしたいか、現在のところ、これといった方向感を持てていないのです。恥ずかしながら」
このような前提のモヤモヤ感を吐露してくれました。
最近は、TV脚本家の鈴木おさむさんの「ソフト老害」が話題になりましたが、そういった文脈ではないようです。Aさん自身の組織観に、ある程度時間を過ごし、後進を育てたら、前任(この場合Aさん)は退くべき、とある、と仰っていました。
大き文脈として、後進が育ってきたら前任は退く、の論は、わたし自身も基本的には同意です。どうしても、経験の長い人が権限の大きい役職にいること自体が、ほかの人が遠慮し、新しい前提を問うことや、WHYの見直しが、その経験の長い人に無意識にも忖度して、その枠組みの中で思考してしまうことが見られます。
しかしながら、もう一方で、その後進と肩を並べて、自分自身もそこに居ながらも、新たな価値の問い直しや、そもそもの事業運営を担うことができないか、考えてみたいところです。
単純な役割の分業の仕方は、組織サイズやドメインをベースに割ることです。これは基本設計としてはよいですが、Aさんの担当組織にとっては、引き続き、Aさんの存在感が残るわけですから、あまり変わり映えがしないことになります。Aさん自身の当初の問題意識も解消はできていません。
次に考えられるのが、よくある組織上、表には更新をたてて、前任は後ろで新たなリーダーを後ろからメンターのように支えていくような役割を担うことです。これはよくある思考パターンです。ですが、あまり上手く言っている組織を聞くことはありません。おそらくは、院政となる現実が多いからだと推測します。当人が院政のような権力を誇示する場合もありますが、それよりも周りが、新しいリーダーよりも、その後ろにいる前任を見て仕事をしてしまうことが一番の要因と考えます。この路線で考えるなら、新しいリーダーのもと、ボードチームもあらなた顔ぶれに変えることが緩和策として考えられます。何やら政治の世界の内閣、閣僚みたいな話です。
もう1つ考えてみると、いわゆるラインの責任者とは異なる役割を任せることです。たとえば、営業部門や管理部門、サービス企画を含めたコンサルタントを担う、などでしょうか。要するに縦ラインの組織ではなく、横ぐ私的な組織を見ることで、その影響力を違う方向に逃がすことができます。加えて、Aさん自身のキャリア開発にもつながるかもしれません。
3つの方向性を提示しました。どれをとってもよいですが、上手く意図どおりになるかといえば、重要なピースが抜けているように考えています。それは、Aさん自身がこれまで培ってきた成功体験やもともと持っている前提を一度捨てて、学び直すことができるかどうか、と考えます。
Aさんの場合、新卒で入社して一貫してここまできています。ですから、自社のミッション・ビジョン・バリューや、俗にいう組織風土や社風に強い愛着を感じていることも強くありそうです。そのこと自体はとてもポジティブなことですし、そもそもの価値観ですから、何ら否定も過度な肯定もされる謂れはありません。
一方その土着した固定観念が、この次の挑戦や長期のキャリア形成を考えると、書き換えたいプログラムであることも否めません。現在にアジャストした価値観や前提に自分自身のアップデートをかける必要性も否が応にも適応課題として出てくるからです。
それが進むためには、よき支援者、メンターを見つけて、その支援を仰ぎながら、固定観念の捉えなおしを図ることが必要条件として求められると考えます。
ですから、アンラーニングして学び直す謙虚な姿勢と、支援者を頼る腹を出すようなオープンな姿勢を持つことが、それを上手く進める重要なファクターではないか、と考えます。
それでは、また。