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#151 人材育成はいつ失敗させるかをマネジメントする【1/2】24/4/25

みなさん、こんにちは。
今日は、優秀な若手にどのように育ってもらうか、成長支援するか、を考えてみます。

考えるきっかけは、ある若手課長の退職です。事業部門としてもかなり期待をかけていた、若手かつ女性でした。経営層と人事視点ではジェンダーダイバーシティ文脈からも、アイコニックなポジションを求めていた従業員でした。

この課長に退職する背景を聞き、決断に至った理由をわたしなりに考察してみました。

まず、彼女の大きな問題意識は、自分は「何もできるようになっていない」とのことでした。当然ながら、彼女の上長や同僚、事業部の責任者の評価は「できる課長」です。他者からの評価はしてもらっているが、とここにはギャップがあります。

彼女の言葉をわたしなりに解釈すると、「わかっていない自分へのもやもや」、手応えのない自己効力感と考えています。難しく言うと、「わかっていない未熟への不全感」とでも言い表すことができるかもしれません。

おそらく彼女の中には、自覚があったのだと推量します。

「女性、若手の中で相対的にいい感じだから優遇されている」
「ジェンダーダイバシティ推進のトレンドからも、自分はその役割を担っている側面もある」
「成果としてのパフォーマンスが良い状態なのは、会社や事業のしくみによるところが大きい」

もしかしたら、上位層の期待に応えて、トリックスターを演じていたのかもしれません。

賢い方ですから、このような環境的周辺要因を認知的、あるいは非認知的だったかは半々でしょうが、退職を考えるに至った複層的な構造要因ではないかと考えます。

これには、また別の構図もあります。
それは評価する上長、事業部門としてのあり様です。まず直接の上長たる部長とその事業部門の責任者は、若手の課長登用ですから、ある程度の座布団を下に敷いて見切り発車した部分も少なからずあります。

ですから、任用が失敗だったとの結果は避けたいインセンティブが湧きます。何としてでも、離任するような声が上がらないよう、パフォーマンスを出させようと過剰なフォローをしてしまいます。無論、本人がつぶれてしまうようなことは、絶対に避けたいメンタリティを持ちます。

このことが、当人が、自分の力で課長として求められるパフォーマンスを出すことを阻害する、と考えています。その結果、失敗やトラブルを経験しないままに、一定期間の月日を過ごすことになってしまいます。そのことに問題意識を働かせていない管理職も多数見受けられます。が、この彼女はスマートさを持ちえていたため、そのことを自覚することになったのだと想像します。

その自覚するトリガーになったのは、休暇中に上長から仕事トラブルの電話連絡が入ったことだったそうです。これは聞いたとき、「とてもがっかりした」ことは言うまでもありません。

ダイバーシティや男女の賃金格差問題でも考察されるとおりです。いつ、なんどきも、何か起きたときに、すぐに対応できる人=無限定な制約、の人が好遇される分析結果、その構造を見事に地に足で行く話だからです。

この出来事をトリガーに、自身の仕事、キャリアを俯瞰的に考えることになり、最終的に退職する判断に至ったのだと思料します。

さて、事業部門としては、全力で引き留めにも走りました。
長くなりましたので、次のエントリーに分けてお話しできればと思います。

みなさんの会社では、特定のセグメントに対する処遇の優遇はありますか。
それでは、また。

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