#271 守破離の「守」は、完コピする 24/11/20
こんにちは。
今日は、仕事の熟達段階初期における、習得ポイントを考えます。
(実例を基に編集しています)
先日、半年前に異動してきたメンバーAさんの仕事の仕方を見ていて考えたことがありました。まず、異動して半年のAさんにとっては、大半の仕事は初めての分野です。
とある研修内容の刷新を任されて、その企画策定に四苦八苦していました。任された、といっても、丸ごと一からひとりで考えてくださいね、と渡された仕事ではなく、上長課長のBさん、同じチームの同僚Cさんを巻き込んでの、案件オーナー的な位置づけのジョブアサインメントです。
研修の中身は、ジュニアリーダー(班長、SV、主任相当)向けのマネージメントに関する内容です。ジュニアリーダーと言っても、当社の場合、1次評価者に対して評価参照情報を提供する、重要な責任と役割を担っているポストです。ですから、部分的には課長層に近いピープルマネージメントの要素もあったりします。
納期の2ヵ月ほど前に、課長Bさんからアサインメントを受けたようです。ですが、ほかの業務に習得もあり、手を付けたのは1ヵ月ほど前からになってしまいました。その時点でそもそも大きくディスアドバンテージを発生させている点が何より仕事の仕方としては修正が必要な点です。そこで終わってしまっていては、何の考察でもないので違う角度から考えます。
Aさんの異動前は、現在の人事部門業務とはまったく異なる職務です。インサイドセールス部門で、まさにジュニアリーダー職を担っていた、ビジネスパーソンとしては中堅層です。その意味では、ジュニアリーダーのリアルな職責やそこでの葛藤、悩み、ノウハウを持っています。
一方、マネージメントについての一般的知識系統はなかったようです。そして、納期1ヵ月ほど前に着手した時点でも、マネージメントに関するインプットはしていなかった様子が分かりました。精々、社内イントラネットに共有されているいくつかのマネージメントに関する資料を見ていた、もしくはインターネット検索でいくつかの有象無象の情報を掻いつまんでみていたようです。
その要因もあり、最初に課長Bさん、Cさんとの打ち合わせレビューに持ってきたときは、Aさんが関心を持ったポイントのいくつかを、ばらばらの枝葉として継ぎ接ぎして持ってきた構成内容になっていました。もちろん、前段に、どんな意図を反映させて今回のコンテンツ企画をしたいか、などの基本方針・骨子のインストールは課長Bさんがされていた上です。
そこから、3週間ほど、行きつ戻りつ、3歩進んで4歩下がる、3歩進んで2歩下がると一進一退を続けながら、納期1週間前を迎えました。結果、間に合わないと判断した課長Bさんと、同僚Cさんで巻き取って、ラスト数日の間に今回の研修内容を固めたそうです。
この話を聞いて考えました。
自分にとって初めてのテーマ分野、このケースの場合マネージメント、で仕事を任された際の仕事の仕方です。それは、まず一般通説になっているスタンダードな情報・知識を一度取り入れることです。書籍や出典元が信頼できる情報ソースをあたり、ある程度の標準値を消化しておくことと考えます。
次に、その一般論をつまみ食いしただけでは、まったく意味がない、むしろ書籍を渡したほうがよいですから、自社にフィットさせた形のメッセージやコンテンツにチューニングを整えていきます。ここは、なかなか難しいところですが、Aさんの場合、現場でリアルにこのジュニアリーダー職を担っていたので、ここは期待された点かもしれません。
それから、課長Bさんにレビューをしてもらった際に、Bさんの具体的な修正指示内容を、Aさんが解釈を加えてしまって、何度か意図が正確ではなかったことがあったそうです。まだその仕事に対して初心者の場合、指示された内容をそのまま丸呑みして、そっくりコピーするくらいの写しが必要と考えます。完コピです。
指示内容を自分流に再解釈して、抽象化してしまうと、その内容の本質がまだわかってないステージですから、誤ったアウトプットになることが多いです。ですから、まず、完コピ、丸呑みするほうが賢明なことが多いと考えます。
これは、守破離でいえば、「守」です。
師匠のやり方、動作、息遣いなどそのままに真似てみる。これが、初めての事柄を習得する、遠回りだけど結果最短の道ではないか、と考えます。
それでは、また。