見出し画像

#222 思考停止を避けるために、使う言葉に敏感になる 24/7/29

みなさん、こんにちは。
今日は、言葉の取り扱いを考えます。

ビジネスシーンにおいて、言葉の粒度をいかに自覚的に扱うかは、コミュニケーションの円滑さ、コミュニケーションエンジニアリングの良し悪しを左右する決定要素と考えます。

たとえば、採用活動シーンにおいて、学生が面接で「社会貢献のできる仕事がしたいです」とアピールすることがあります。経験者採用においても、「お客様の役に立ちたい仕事がもっとしたいと思い、転職を考えました」との具合で会話がなされる場面は少なくありません。

いずれにケースも、そうですね、それは大切な点ですね、と反対する人はいないでしょう。しかし、あまりに曖昧なビッグワードであるがゆえに、結局何も言っていないことに等しい、と捉えることができます。

むしろ、厳格な面接官や人事担当であれば、そうですね、と流してしまうと考えます。言うなれば、「お客様は第一に考えよう」「従業員を大切にしよう」と誰も反対しない、耳障りの良い言葉だからです。

そろそろ本題です。

このように、使う言葉はそれによって、考える・思考することを制約することに行き着きます。考える・思考するとは、入力されたインプット情報を、思考によって処理し、洞察や考察、アイデアのアウトプット情報を出力します。いわゆるシステム思考の「入力→処理→出力」です。このとおり、思考するとは、情報を扱い、処理することです。その情報は、言葉で作られています。

ですから、扱う言葉によって、情報は自ら制約的な性質を持ち、それは考える・思考することを止めてしまうと考えます。ガラスの天井を作ってしまうとメタファーしてもよいかもしれません。

それはなぜか、といえば、「わかった気になる」からです。
初めの例に戻れば「社会貢献できる仕事」、いいですね。そこで会話が止まる可能性があります。この場合、面接官も気が利く人が多いですから、「どんな社会貢献か具体的なイメージはありますか」的な質問くらいは投げかけてくれて、チャンスを提供することでしょう。しかしながら、もう少し粒度を落とした言葉であれば、掘り下げの質問がなく、「わかった気に」なって会話はそこで停止すると想像します。

すると、当人も面接官も、それ以上その使った言葉について、解像度を上げる作業は行なわないことになります。つまり思考が停止します。

また別の例を取り上げてみます。
「私は、深く考えることが不得意です。発達課題でもあります」とある従業員が相談してくれます。

これも実際に、考えが浅かったり、出てきた事象や言葉に飛びつくなど、行為としても表れているのだと想像します。

しかしながら、自分で深く考えることは不得意、と自己暗示してしまうと、それによってその負の側面は増長されていきます。不得意だ、不得意だからアウトプットできない、アウトプットできないから成果にもつながらない、成果が出ないから自分は力不足だ、力不足だから考えが浅い、とバッドスパイラルがますます悪い方向に進みます。負の自己暗示が、呪いになります。

ですから、使う言葉が、自己制約的になったり、思考停止になったり、負の自己暗示をかけたり、と悪影響をもたらします。

自分が使っている言葉に敏感になり、過度な自己暗示や自己制約による思考停止を避けるように言葉を扱いたいものです。

さて、みなさんは、自分が使っている言葉を、どの程度敏感に選択していますか。
それでは、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?