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#185 「学びと成長」のスコープは経営層の認識に見える 24/5/29

みなさん、こんにちは。
今日は、成長や学びについて考えます。

(実例を基に編集しています)
先月、期初にあたって、事業部門責任者それぞれの10名弱と、人事・人材マネージメントに関する問題意識や、今年度のテーマ設定を煮詰める場を持って会話したことが考えるきっかけです。

どちらかといえば、ハード的な制度や仕組みよりも、ソフト的な人材育成、成長支援をどのように設計し、マネージメントしていくかに関心が寄せられました。

この背景をわたしなりに推し量り、意味づけをすると、こうです。

1つは、ここ2年ほどは業績目標に対して、事業本部総体としては下回る結果に留まっていることです。前年成長はしているものの、ターゲットに対してはビハインドしています。その前10年ほどは、毎年予算の達成と大きな対前年成長を実現することができていました。その業績伸長に対して、やや踊り場に来ていることが1つです。

2つ目に、企業として転換点に差し掛かることが予見されます。5~6年単位で大きな転換がこれまでもありました。そろそろその時期が想像されます。

事業ポートフォリオの組み直しや、M&Aなどを通じた事業再編が見通されます。そうすると、事業のバリューチェーンのあり方、事業運営のプロセスやプロトコールが変化します。

そのハード的な変更を前に、価値提供の源泉である、人的資源あるいは人的資本をどう強くしておくか、に目線が移っていると考えます(※人事の話なので、情報や設備、財務の資本・資産は除外しています)。

少し前置きが長くなりました。
この背景を想像しながら、人材育成についてそれぞれの事業責任者と会話をして考えたことです。

まず、問題意識を持ったのは、どの事業責任者も、レイヤー1の人材育成にスコープが当たっている、との感想です。

それはいわゆる、わかりやすい、THEスキルを習得する意味の人材育成です。アプリケーション層の習得と強化です。たとえば、自動化技術スキル、データ活用の技術スキル、流行でいえばChat‐GPTなど生成AIの知識と使いこなし方のスキル、広義のコミュニケーション力に紐づく研修などがレイヤー1のアプリ層に該当します。

では、なぜその目線になるか、です。
それは、人材育成とはスキル習得である、と捉えているからです。それが意識的か無意識的かは、事業責任者それぞれの認知によって強度が異なります。

レイヤー1のアプリ層スキル習得は、時代や時流に適応してアジャストすることは否定しませんし、商売として当然ことです。

ここで留意しておくことは、スキル獲得をしたからといって、根本的な人材成長には至りにくいことです。それは、時代に適応するの言葉どおり、数年はそのスキルが重要視される仕事が勃興します。

しかし、数年でビジネスライフサイクルの停滞期に入り、また新たなスキルを必要とする分野をキャッチアップするサイクルに入ることになります。2年~5年程度のある種、自転車操業を繰り返すアプローチ方法です。

では、何が人材育成と言えるのか、です。

それは、今までの価値観やモノの捉え方、行動や方法論を変える、更新することです。

言い換えれば、アプリ層のスキル習得に対して、OS(オペレーティングシステム)をアップデートし、入れ替えることです。今までの思考スタンスや行動スタイル、そのベストプラクティスやノウハウを一度脇に置き、新たな枠組みやものさしを手に入れることです。ここで、従来の成功パターンを捨てる意味で、アンラーンが必要とされます。

では、このOSの入れ替えをするにはどうするか、です。
それは、まず今までのOSが何だったか、気づき、自覚することです。そのためには、当人の内省に始まり、次に他者によるフィードバックによってその内省を強化することです。そのOSに自覚的になることで、更新後の行動や判断がどう変わるのが良いか、マインドセットして変えていくことです。

そのためには、「問い」が必要です。どんな問いを立てるか、です。それによって、OS更新後のTo-BE像が引き出されると考えます。それは事業責任者各位の中に、これからのマーケットの読みや、それに対して従業員や彼ら彼女らを通じて提供する価値≒サービスをどう考えているか、「問いの立て方」に依存します。

このような考えるための前提を、各事業責任者と対話したところです。アプリ層とOS層の違いとその自覚について、事業責任者には伝わったように捉えています。

さて、みなさんは、自分のOSをどのようにアップデートできると思われますか。
それでは、また。

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